Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ツォン・シーユゥ

 
その瞬間、子供は手を叩いて喜んだ!
 「おっしゃあ! 実験成功!!
 400年の時を越えてツォン・シーユゥふっかぁつ!!」
フラアは何が何だかわからない。
実験? 400年の時を越えて? いったい何!? 何がどうなってるの?
喜ぶツォンとやらに、おずおずとフラアはにじみ寄る。
かなり近い距離だが、相手が子供なら、
こんな狭い密室で男性と2人きりと言えども警戒する必要はあるまい。
 「あ、あの、どーなってるの? あなたここで暮らしてたの?」
へへーん・・・。
子供は醒めた目をしつつ、ちょっと待ってろとでも言いたげに、
ゆっくりカラダに巻きつかれたコードを外していく・・・。
 「聞いて驚くなぁ!
 おいらはあの! 偉大なる月の天使シリス様に仕えし従者ツォン・シーユゥ!!
 シリス様のご命令により、人工冬眠装置で400年前の時代から
 この英雄廟で眠りについていたのさぁっ!!」

・・・静かな時が流れる・・・。
フラアは決して頭が鈍い方ではない。
しかしこの子供の言ってることが理解できない。
それ程とんでもない事を言ってるのだから無理もないが・・・。
フラアは必死に、子供のいった事を反復して健気に理解しようとする。
 「え、えっと、まず、あなたのお名前はツォン・・・ツォン君ね?」
 「うん!」
 「そ、それで・・・あなたがシリス様に仕えてたって・・・それってウィグル建国の王シリス様?」
 「そう!!」子供は誇らしげだ・・・。
 「で、この建物は英雄廟? だから外に当時の偉人達が飾られてるの・・・ね?」
ここまで理解できれば大したものだ。さすが主人公である。
 「そうだよ! お姉ちゃん!」
 「で、あの・・・あなたが400年眠ってたってのが・・・ホント?」
 「ホントだよ、おいらが眠ったのが、カラドック兄ちゃんが引退した後だもの、
 この機械でカラダを凍らせて、今さっき目覚めたんだ。
 シリス様のご命令でね、400年後に目を覚ますようにって!」