Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

発覚と発見

 
そこでフラアは話を理解するよりも、
ウィグル王列伝に記されている、シリスの従者の記述を思い出した。
ちなみにウィグルで教育を受けた子供は、
ウィグル王列伝を読むことを必修とされている。
 「そ、そういえば、ウランドン・ジェフティネスが開発した空を飛ぶ船・・・、
 それを乗りこなしていた子供の名前がツォン・シーユゥ・・・、
 ウィグル王列伝では彼の消息は載ってなかったと思ったけど・・・。」
そこでツォンと言う名の子供は、さらに誇らしげな顔をした。
 「へへーん、ようやくオイラのことがわかったかい?
 カラドック兄ちゃん、ウィグルの歴史書作るって言ってたけど完成したんだな?
 おねーちゃん、フラアって言ったっけ?
 後でおいらにも読ませてくれよ。」
へ?

マジでこの子供シリスの従者ツォン・シーユゥ?

そして同時にフラアは大変な事実に気づく。
実は目の前にいる子供は「子供」ではない。
ある種の先天的な病気でカラダの成長がストップしているだけの者・・・。
あのウィグル王列伝には、そう彼の略歴が書いてあったはず。
少なくとも彼は、10歳のころにシリスに「拾われ」、
シリスが失踪し、カラドックが退位するまでは普通に、暮らしていたはずだ。
ならば・・・ざっと計算するだけでこいつ、40近い筈・・・。

フラアは「女」として少しだけ警戒したが、
見ればツォンとやらは天真爛漫に自分の事を語りだしてるだけだ。
そこはあまり気にしなくてもいいのかもしれない。
そんなことより・・・。

ツォンは話をしながら、せわしなく辺りを引っ掻きまわし、
どうも食料を手にしたようだ。
宇宙食のような冷凍保存レトルトのような・・・。
とりあえずそれが食べ物である事はフラアにも分かった。