Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

法王の抵抗

 
フラアは大粒の涙を流して泣きじゃくる。
ようやく、話の中身を理解したらしい。
だが、・・・それを受け止められるかどうかは別なのだ。
彼女は言葉にならない声を、その小さな口から漏らすのみだ。

ディジタリアスも、一度、話を区切るべきだと考えた。
何より、もう父母の容体も気にかかる。
 「陛下・・・!」
アイザスも頭で理解はできていたのだが、続いて自分がどう対応すべきかまでは、
頭が回っていなかった。
 「あ? な、なんだ、ディジタリアス!」
 「詳細はまた後に調べるとして、今はこれだけで十分では・・・?
 事は重要です。
 我々の親族・・・まさしく王統の血縁者の可能性が大きい者を、
 『このような』場に捨て置く訳には参りませぬ。」
 「そ・・・! その通りである!
 法王ランドレット! これはそなたの責任問題に発展するぞ!?
 直ちにこの裁判を中止すべきではないのか!」
だが、
法王ランドレットも、ここで裁判を中止されては・・・、
自分達法王庁が間違った裁判を行ったと、簡単に認めてはメンツが立たない。
強硬に自分達の主張を貫きとおそうとする。
 「いいや! 陛下! お待ちください!
 王族の血縁者であるかもという話と、裁判は別でございます!
 彼女は『魔女である』証拠にインセストを行っているのですぞ!?
 その自供もあります! 王族だからとてそのようなおぞましい行為を・・・」
 「いい加減になされよ、法王!!」
ディジタリアスの精一杯の咆哮だ。
・・・彼も青ざめた顔で最後の力を振り絞る。
心配してお付きの者もカラダを支えに慌ててやってくるが、
本人はどうでもいいかのように、ランドレットを睨みつけた。