Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ささくれる心

 
今、フラアの望みは一つである。
 「・・・みんな出てって・・・。」
だが、周りの者にしてみたら、
そんな事を言われても、たった一人のフラアを放っておける筈もないし・・・。

 「お願いだからあたしを一人にして・・・!
 誰も話しかけないで!!」
ここまでフラアは、他人の顔を振り向きさえもしなかった。
意識してはいない行動かもしれないが、
彼女なりの精一杯の拒絶の顕れなのだろう・・・自分の家族を奪った王宮に対しても・・・。
冷静に考えれば、
ディジタリアスやツォンに対する感謝の念ぐらい持つべきだろうが・・・

 冗談じゃない!

 ならどうして、もっと早く助けに来てくれなかったのっ!
 なら・・・もしそうなら、誰も死ぬことなんかなかったかもしれないのに・・・
 なんで・・・どうして・・・

医療スタッフは、国王に静かにお伺いを立ててから部屋から一人ずつ出て行った・・・。
とはいえアイザスも、このまま、どうしていいかわからない。
フラアを一人にしたら危険なことぐらいわかっている。
かといって、そこら辺の兵隊や女官を待機させたところで、フラアは認めやしないだろう。
比較的賢明なディジタリアスはアイザスに提案する。
 「・・・この場は我らがいてもどうしようもないし、
 まずは寝具の用意でも?
 それに、ツォン殿なら一緒にこの部屋にいていただいても差し支えないのでは・・・?」
実際、ツォンも自信はなかったが、
そのディジタリアスの言葉が誰よりも確実かに思えた。
話しかけることも憚れるように思えたけど、せめてフラアを見守るくらいなら・・・。
 「フラアねーちゃん・・・。」
・・・勿論、呼びかけたところで、フラアに何の反応もないのはわかっていたけども・・・。