Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

シルヴァヌスの森 30

 
後ろに構えていた部下たちは気が気でない・・・。
 「あ・・・あの、タケル様・・・?」

見ればタケルは、大きく腰を落とした不動の態勢で、天叢雲剣を土の中にブッ刺したまま・・・。
周りに煙が立ち上っているようだが、
落ち葉が焼けたのか、ネズミのカラダからか、それともタケルから湯気でも出ているのか・・・、
とにかく本人は無事なのだろうか!?
 ビクリ!
あ、動いた!
 「タケル様、ご・・・ご無事ですか!?」
ようやく、タケルはカラダを動かし始める・・・。
 「・・・お、おお、だーいーじょーおーぶー、お、お、思ったーとおりだー、
 か、カラダが順応してってんぜー、電流によー・・・!」
別にふざけているわけではない、
舌がうまく回らないので、ゆっくり喋ろうとしているだけだ。
そうしながらも、自分のカラダにどれだけのダメージがあったのか、確認しているようだ。
それにしても、つくづく・・・化け物か、この男・・・。

さすがにすぐに行軍を再開できる筈もない。
タケルの膝や足もとも、カラダを流れた電流のせいか、
まだ、うまく自分の言う事を聞いてくれない。
・・・だが、問題はない。
すぐに回復していくさ・・・。
それより、今までの天叢雲剣の発動で、精神エネルギーをかなり消費している筈だ。
シルヴァヌスの所に辿り着くまでに、彼の潜在エネルギーは持ちこたえていられるのだろうか?
サルペドンはタケルに付いている二人の部下に、
タケルの前衛になるよう指示を送った。
タケルとしては、これ以上、仲間に被害を与えたくないのだが、
タケルがシルヴァヌスを倒す唯一の能力を持てる戦士である以上、
他のメンバーは可能な限り、タケルの負担を減らさねばならない。
例え、自らのカラダを盾にしようとも・・・。