Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

☆森の神シルヴァヌス

シルヴァヌスの森 38

デン達の死体の運搬、簡素な葬儀・・・、 そして哀れなアイドメネアの事は、サルペドンが村の長老らしき人物に説明していた。 タケルも何かすべきと考えていたのだが、 他の隊員達が、疲弊したタケルのカラダに気を使ってくれたので、 必要そうな仕事は全部…

シルヴァヌスの森 37

・・・戦いが終わった・・・。 見ればタケルのカラダはボロボロだ・・・。 小動物や鳥たちに、衣服や皮膚をあちこちついばまれている。 大きなダメージは全くないのだが、 本人にしてみれば、カラダ全体を襲う疲労感の方がつらいところであろう。 もっとも・…

シルヴァヌスの森 36

その眼光には紛れもない殺気が・・・! 体力と精神力を限界近くまで使い果たし、 仲間を殺され、その感情の昂りも最早ピークに達している。 ・・・容赦できる余裕は既になかった・・・、 いや、あの時・・・たとえ一時期とはいえ、暗黒の波動を受けてしまっ…

シルヴァヌスの森 35

タケルの四肢に力が入る! それを見てシルヴァヌスは嘲るのみだ。 「ほっ? 無駄だ、確かに貴様は力自慢のようだが、 そのツタを引きちぎれた者など、かつて存在せん! 無駄な努力など止めるがいい!」 だが、シルヴァヌスは知らない・・・。 その鋼鉄のよう…

シルヴァヌスの森 34

既にシルヴァヌスは、先ほどの翠色の大蛇に侵入者を襲うよう、能力を使用していた・・・。 だが、その大蛇はタケルを襲うことはしない。 それだけではない。 この社の周りには肉食系の大型獣も配置している。 それらがタケルに襲いかかる事を拒否していたの…

シルヴァヌスの森 33

だが、不思議な事にタケルに危機意識は生まれていなかった。 その蛇の動きに、こちらに対する警戒行動が見えなかったからだ。 だが・・・! 「うぉっ!?」 タケルの四肢が何かに絡め捕られた! 別の蛇が背後から!? いや、違う! これは植物のツタだ! ご…

シルヴァヌスの森 32

下り斜面はついに終わりを告げ、今度は急勾配の登りとなる。 ・・・ん!? タケルの視界に異様な物体が現れた。 建造物・・・!? いや、あれは木立・・・。 そうじゃない、 密集した木立が絡み合って天然の社のようになっているのだ・・・。 では・・・敵は…

シルヴァヌスの森 31

二人の部下は、剣を薙いで、タケルの進む道を作る。 ぬかるみや、まとわりつく小動物・・・昆虫になど怯んでいる暇はない。 『・・・タケル聞こえるか! 近いぞ!! 周り全てに注意しろ!』 いよいよか・・・! 正直、まだ膝がガクガクするが・・・、 天叢雲…

シルヴァヌスの森 30

後ろに構えていた部下たちは気が気でない・・・。 「あ・・・あの、タケル様・・・?」 見ればタケルは、大きく腰を落とした不動の態勢で、天叢雲剣を土の中にブッ刺したまま・・・。 周りに煙が立ち上っているようだが、 落ち葉が焼けたのか、ネズミのカラ…

シルヴァヌスの森 29

タケルの毛が逆立った・・・! だが、先ほどの暗い森のような、絶対的な恐怖は感じない。 これは生物的な・・・まさか、 そうだ・・・先ほどのデン達を襲った小型・・・いや、中型げっ歯類の塊り・・・! ついに奴らはタケル達をも発見し、その、小さいなが…

シルヴァヌスの森 28

幻覚だって? シルヴァヌスにそんな能力はないはず・・・。 あるとすれば、幻覚作用のあるキノコの胞子でも吸ったのだろうか? サルペドンは、疑念を抱きながらも次の作戦を伝える。 『まだ天叢雲剣を振るえるか? ここからの作戦はお前の精神力次第なんだが…

シルヴァヌスの森 27

はぁ、はぁ、・・・はぁ・・・。 何も変化がない・・・、反応すらない・・・いや? 聞こえる・・・ またあの声だ! まだ・・・繋がってないようだねぇ・・・ すると、同じ向こうの「世界」から、老婆とは違う男性の乾いた声が・・・。 ち・・・父はまだ・・…

シルヴァヌスの森 26

聞こえる! 間違いない!! 相変わらず部下たちには聞こえないようだが、 タケルは踏み固められた獣道から、森の奥へと足を踏み出す・・・。 一体、今の声は・・・? いや、そもそも今のは日本語なのか!? そんなわけはない・・・! では何語だ!? まるで…

シルヴァヌスの森 25

異変を察知したのはマリアだけではない。 この森の主・・・齢100をも越える長い黒髪を束ねた男・・・、 この森のどこかに潜むシルヴァヌスでさえも、 今、自分のコントロールを離れて、森の一地域で何らかのエネルギーが集まっている事に気づいたのだ。 …

シルヴァヌスの森 24

「・・・なんてことだ・・・このままでは全滅か・・・?」 サルペドンの声に力はない・・・。 デンの最後は「ネズミ」に襲われたという必死の声で、大方の予想はつく。 だが、今森の中に入っている全員でも・・・それを防ぐことはできないのではないか? 狼…

シルヴァヌスの森 23

だが、払っても払っても、ネズミの大群は二人のカラダに群がり続ける・・・! 終いにはデンのカラダもネズミに食われ始めた!! 「あぅっ、ああ! うっう、! デン! でんっ・・・!」 見る見るアイドメネアのカラダが血まみれに・・・、 いや、ネズミどもに…

シルヴァヌスの森 22

そこまでのやりとりの結果は、無線でクリシュナ部隊やグログロンガにも伝わった。 彼らは彼らで、様々な森のトラップに悩まされながらも、 今の所は大怪我を負うこともなく森を進んでいた。 ・・・一方、再び感知能力を使い始めていたマリアが危急を告げた。…

シルヴァヌスの森 21

足元や周りを注意して、デンは慎重に進む。 じっと待ってるアイドメネアの傍までもう少し・・・と言うところまで行くと、 彼女はいきなりデンの手首を捕まえた。 あれあれっ? 戸惑うデンに、アイドメネアは空いたもう一本の腕で、少し先の樹木を指さしして…

シルヴァヌスの森 20

そこでサルペドンはデンを呼び出す。 『デン、代わってくれ。』 「はい、こちら、デン。」 『その少女の名は、神の女奴隷アイドメネア、 シルヴァヌスの私有奴隷ではない。 身分上は、それぞれの共同体に管理されてる農奴のような身分だ。 現代感覚なら、汚…

シルヴァヌスの森 19

サルペドンは、無線越しに会話を試みるつもりだろうが、 この少女に状況は理解出るのか? 少女を怯えさせないように、デンは、ゆっくり、少女に視線を合わせ、 ぎこちなくも笑みを浮かべて無線を近づける。 少女も、多少なりとも怖いのか、 釣られるような動…

シルヴァヌスの森 18

「いったい、どうなって・・・。」 もう一人の隊員が、自分も彼女を観察しようと茂みをかき分け、デンの近くに来た時だ、 突然、百合のような形をした花から何かが噴き出した! 「うっ? うわっ! ・・・ヒッヒィィっ!?」 デンが驚いて振り向くと、両手で…

シルヴァヌスの森 17

茂みの中には、大きく奇麗な色をつけた百合のような咲き方をした花が咲いている。 もっとも、花の形は百合とは全く違う、 大きさもそこら辺の百合よりもでかそうだ。 隊員の一人は、デンと視線を交わした後、ゆっくりと茂みをかき分けた。 デンの銃口は開か…

シルヴァヌスの森 16

そして、こちらは別動隊・・・。 元々戦闘を得意とせず、スサの科学技術全般の責任者であるデン・テスラは、 最低限の武装を伴い、救出者の探索に来ていた。 機器関係のプロフェッショナルらしく、サーモセンサーやら、超音波測定計器など、 運べるギリギリの…

シルヴァヌスの森 15

霞がかかる森の中を、青白い無数の刃が切り裂いていく! 男は腰を抜かして驚くと、ヨタヨタと、不格好に逃げだし始めた。 例の足では普通には歩けないのだろう、 近くの巨木を見つけると、ここまで来た時と同じように、なんとか登り始めるも、 肩口の痛みの…

シルヴァヌスの森 14

こいつも・・・。 タケルはかつての出来事を思い出さずにはいられない。 いつかの府中の製薬工場で見たもの・・・。 騎士団の愚者の騎士、日浦義純が案内したこの世の闇で日常的に行われている風景・・・。 異常出生や人体実験、人身売買など、 普通に人生を…

シルヴァヌスの森 13

驚いたのはそれだけではない。 苦痛に歪むその顔も異様だ・・・。 骨格自体が人間のそれではない。 眼球は浮き出て、額や頭部が異常に小さい・・・。 喉には鳥を思い浮かべるような筋が走っている。 まさか・・・。 「・・・おい! てめぇ、何もんだ!?」 …

シルヴァヌスの森 12

一方、タケル達を狙う側から見れば、 突然、一人の巨大な男が剣を取って踊り出したのを見て、 自分の目を疑うだけだろう。 もしくは敵の頭がおかしくなったのかと考える。 この・・・森の守護者・・・シルヴァヌスの忠実なる刺客は、 森の木立から木立へと飛…

シルヴァヌスの森 11

サルペドンも、なるべく多くの事を伝えたいのだが、 現在タケルが敵の攻撃を受けている真っ最中なら、 優先度の低いものを伝えている余裕はない。 マリアが感知中に気づいたノイズとやらは、放っておくしかないだろう。 『いや、悪い、気にするな、そのまま…

シルヴァヌスの森 10

「おい! 大丈夫・・・うっ!?」 襲われた隊員は、そのまま地面に崩れ落ちる・・・。 既にその時、隊員の目は虚ろだった・・・。 地面に横たわった彼の頭部はざっくり割れている。 やられた・・・、ここでも犠牲者が・・・。 「畜生! だが、いまのは動物じ…

シルヴァヌスの森 9

さて一方・・・こちらはタケル。 数名の部下と共に、森を彷徨い始める。 道に迷ったと判明するまでに通ってきた分かれ道は、そんなに多くもなかったはず。 それでも、確実に戻るために、 分かれ道を見つけるごとに樹木に目印をつけていく。 めぼしい木がなけ…