Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地母神デメテル 19

 
デメテルはタケルを再び座らせると、
自らの白い腕をタケルの胸板にまた這わせ始めた・・・。
 え・・・だからちょっと・・・。
 「タケルよ・・・何故、そなた達がこの村に来たのか理由を知っているのか?」
いきなり唐突的な質問がデメテルから出される。
「来たのか」って・・・そのルートを選んだのはオレ達・・・。
理由もクソも、ピュロス王国の首都を目指しての行軍の途中だと言うだけで・・・。
 
言い淀むタケルを無視してデメテルは質問を続ける。
 「わらわがそなたにじゃれつくのが、
 単にわらわが男好きのせいかとも思っていまいか?」
え・・・違うの?
 そこでデメテルはカラダを離し、
食卓に用意された飲み物が各テーブルに行きわたったのを見ると、
少し離れているサルペドンに合図した。
 「サルペドンよ、乾杯の声はそなたが仕切るがよい、
 ・・・そのぐらいは働け・・・!」
またもタケルは違和感を感じる。
デメテルの、サルペドンに対する態度はあまりにも馴れ馴れしい。
むしろ、まるで何年も行動を共にした、友人か、またはそれ以上の間柄のようにも見える。
だが、さっきの挨拶の様子からすると、
初対面同士のそれに間違いはないはずだろうし・・・。

一方、サルペドンはバツが悪そうに咳払いをしたのち、
各テーブルの面々を立たせ、挨拶を行った。
特に内容はなく、互いの出会いと祝福を願った形式的な挨拶の後、
乾杯が行われ、再び面々は席に着く。
そして、豪勢な食事のスタートだ。
喉を潤し、少しずつ料理を口に運ぶと・・・確かにうんまぃ!
肉は少なく、野菜や芋類中心の筈だが、
卵やクリームも併用して万人が受け入れられる味になっている。
デュオニュソスの村と言い、このデメテルの宴席と言い、
何日も暮らしていたら、そりゃあ戦いの日々がバカらしくなっていくのも仕方がない。
改めてタケルは、自分の心が流されないように自戒の念を込めなおすと、
隣のデメテルが先程の話を繰り返した。
 「さて、先ほどの話じゃが・・・。」
そうだっ、何だったっけ・・・!?