Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」25

 
スサ本隊では、マリアの感知能力がようやく使用可能となっていた。
「運命の女神」モイライ程の精度があるわけでもないが、
彼女にしても、先ほどの嵐のような精神エネルギーの爆風を、
まともに受けるわけにはいかなかったのである。
とは言っても、今現在、感知できるものは何もない。
タケルの天叢雲剣の使用したときぐらいはわかるかもと思ったが、
その使用痕跡すら感知することはできない。
・・・何とか感じるのは、恐らくタナトスとやらの残留思念だろうか・・・?
今もその人物が移動していなければ、
タナトスの位置の方角はわかるが、
今は、タケルをはじめ、見失った仲間を探すのが先決だし、
そのタナトスから離れることが目的なのだ。
一度、マリアは能力をストップさせ、サルペドンの判断を仰ぐ。
 「・・・どうしましょう、タケルさんたちの居場所は不明です・・・。」
 「うむ、・・・先ほどあれだけの地震が起きた後で、
 まともに戦っているとも考えづらいな・・・。
 どっちみち、日本語で無線を使えば、オリオン神群には内容はわかるまい。
 それぞれ、無線をフルに使って散り散りになった仲間を探すように言え。
 周りにオリオン神群の兵がいないようなら、大声で直接呼びかけても構わん・・・!」
サルペドンは、自分でも軽率な指示だったかもとは思った。
だが、彼自身まともな判断力を残していなかったのかもしれない。

 先ほどの巨大な地震は、紛れもなくポセイドンの能力・・・。
だが、あの力は自分のそれをはるかに上回る。
恐らく歴代のポセイドンにしてもあれだけのパワーを有するものなどいないはずだ。
この地底世界ピュロスに、
それだけのパワーを持つものなどいるのだろうか?
過去の自分が治めていたパキヤ村は比較的近いはずだが、
そこに新たなポセイドンが生まれたとも考えづらい。
どっちにしてもオリオン神群の限界を超えている。
・・・ならば、この地でそんなマネができるとしたら・・・。

まさか、タケルが・・・?