Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」27

 
 「・・・あっれぇ~?
 ここ、どっこぉ~・・・?」
さっきまでは目印に使えそうな岩柱も見えていたのだが、
この辺りには一本も生えていない・・・。
霧だけはさっきと変わらず立ち込めたままだが・・・。
半分、何していいかわからず、ミィナはイラつきながら鞭をビュンビュン振り回す・・・。
 そんなことしても霧は晴れないよ・・・。
タケルがいたら、そう、突っ込まれるかも・・・。
やむを得ず、戻ることも考えたのだが、
今、自分が向かっている方向で、人間の叫び声が聞こえたような気がする。
戻るのは、この傾斜を下っていけばいいんだし、
これ以上、道に迷うことはあるまい・・・。
そしてミィナは自分の耳を頼りに進むことにした。

しかし、もう人の声や争っている音も聞こえてこない。
さっきのは空耳だったか・・・、
それとも霧のせいで聞こえた方角を間違えたのか?
一応、彼女なりに五感を働かせども、異常らしきものは・・・
 あっ、また揺れてるっ!?
だんだん、不安になってきた・・・。
何分にも彼女の暮らしていた村に、地震なんか滅多にない。
それがいきなり、あれだけの規模の揺れに遭遇したのだ。
さっきのどでかい奴で、寿命が一月ほど縮まったといっても決して大げさではないのだ。

とりあえず、ミィナはある決断をした。
あと2~3分進んで何もなければ、引き返そう。
どう考えても、これ以上進んでも仲間に会えそうな気はしない。
そう、決め込んだら、何となく落ち着きもなくなり、ミィナは小走りとなる。
ところが、ある地点に達したとき、
彼女の野生の本能のなせる業か、
足を前に踏みしめようとした途端、急に彼女の背筋が逆立ったのだ・・・。