Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス31

 
ここから先は、ほぼネレウスの独演会といっても差し支えあるまい・・・。
タケルもサルペドンも、その話のスケールに質問する事、
いや、口を開くことさえ躊躇われていた・・・。
それほどの内容が、この老人の知識の中に詰め込まれていたのである。
 「お話しましょう、
 ポセーダーオンが何者なのか、
 おっと? それは皆さん、ほとんどご存知なのでしたね?
 ですが、私の話とあなた方の伝えてきた話と、相違点があるのか、ないのか、
 そこだけ気にしてお聞きくださいませ・・・。

 かつてこの地を・・・この大地は全てポセーダーオン様が治めていた・・・。
 実のところ・・・、
 本来、その神が何という名を冠していたのか、
 如何なる名前で呼ばれていたのか、それは我らにもわかりませぬ、
 我らは『大地の主』という名の『ポセーダーオン』と呼んでいただけに過ぎませぬ。
 そして、
 その神に仲間がいたのか、親族がいたのか、
 それすらも想像の域を超えることができませぬ。
 ただ、人間という生命が創り出された時、
 既に地上には一人の神が存在するだけであった・・・。

 地上に人が増え始め、
 御神が自らの子供として、彼らに、知恵を与え、道具を教え、全てを伝えようとした時、
 その事に危機感を抱いた天空の神々・・・、
 ふむぅ・・・『神々』と言うからややこしくなるのかもしれませぬな?
 『奴ら』とでも呼びましょうか?
 『奴ら』は大地を・・・人間を皆殺しにする事を決めた・・・。
 勿論、人間たちに反撃や抵抗するだけの手段などありませぬ。
 例えポセーダーオンとて、ただお一人だけでは・・・。

 しかし、ポセーダーオンには全てを見通す『眼』を所有していた・・・。
 それが天空の『奴ら』に対し、決定的なアドバンテージと成り得たのです。
 ポセーダーオンは、天空の『奴ら』を制することのできる未来を見通していた・・・。」