Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス32

 
一度ネレウスは首を左右に振って、自らの発言を戒めた。
 「おっと、失礼しました、
 今の私の言葉、一箇所訂正いたしましょう。
 ポセーダーオンが天空の『奴ら』の未来を見通していた・・・、
 というくだりは、恐らく後世の創作が入っているかもしれません。
 確実に言える事は、ポセーダーオンが何らかの切り札を握っていた・・・、
 その為に『奴ら』は、
 人間を絶滅させることも、ポセーダーオンの命を奪うこともできなかった。
 そこで、奴らはポセーダーオンと一つの密約を果たした。
 それがどんなものなのか、全くわかりませぬ・・・。
 あなた方にも伝わっているポセーダーオン復活の時・・・、
 それすらも彼らの契約のうちなのか、
 それとも契約が破棄されたときなのか、
 愚かなる我ら、人間たちには知るすべはないと言う事なのです・・・。」

今の話もかなり衝撃的とも言えるが、
その内容のうち半分は、タケルも地上で美香や日浦やサルペドンから聞いている。
ただ真剣に聞いていなかったからこそ、
この場で、その重要さに気づいて神妙にならざるを得ない。
まさか、こんな外界と隔絶された土地で、そんな話になるなんて・・・。
タケルには質問どころではないのだ。
そこでサルペドンが聞きたかったことを口にする。
 「それで・・・さっきのオリオン神群の話は?
 ポセイドンが大地を揺らすのは自然と言えるのだろうが、
 ゼウスやハデスは何をルーツとして、あれだけの力を振るえるのだ?」
ネレウスは「おうおう、いけない」とでもいった挙動で、サルペドンを見上げる。
 「これは失礼しました、
 そうですな、
 では、こう考えてみてください。
 かつて地上を支配していたポセーダーオンは全知全能の神・・・、
 大地を揺する・・・などという能力は、御神の力のほんの一端だとしたら・・・。
 例えば、嵐を巻き起こしたり、雷鳴を響き渡らせたり、或いは、
 目の前の敵から・・・生命力を吸い尽くすことができたり・・・とかですかな。」
 
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