Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス47

 
・・・そこは、パキヤ村で最大の広さを持つ広場なのか、
草野球のグラウンド並みの広さの平地・・・。
一対一の決闘の場としては少々広すぎる気もする。
村の男たちが速攻で柱を立てて行き、周囲をロープで張っていく。
そういえば、地下世界に下りてここに至るまで、
まともな決闘は初めてじゃなかったか?
もっとも、どうせオリオン神群の戦いというならば、地上の「決闘」の概念には当てはまるまい。
それはタケルの天叢雲剣についても同様なのだが・・・。

ネストールの指示で、タケルは広場の中央に近づく。
2、30メートル先には戦車に乗ったヘファイストスが準備完了といった風体だ。
・・・やっぱり戦車っていうより、車椅子だよなぁ?
駆動効率は良さそうだが、やはり両手で両輪のハンドルを回して移動を行っている。
あまりよくは見えないが、足に障害があり、まともに動けないのは本当のようだ。
ただ・・・確かに鎧の下のボディは頑丈そうだ。
少なくとも上半身の腕力は自信がありそうに見える。
そして・・・ヘファイストスの背後には何本もの槍が装備されている。
肘掛の先端にも、敵を突き刺すための小型槍を尖らせて・・・。
なるほど、鍛冶の神と言うだけあって、武器を用意するのは得意というわけか?

タケルはそこまでの判断を行った。
そして瞬時に勝利への作戦を・・・。
ただ、作戦といえるレベルではない。
射程距離内に入ったら、天叢雲剣の雷を放つ、
金属の装甲をまとったヘファイストスに避ける術はない。
すぐに勝負は決まるだろう・・・。

決闘の立会い者はネストールが務める。
ヘファイストスとタケルの距離を測り、
やはりかなりの距離が残っている時点で、二人の接近を止めた・・・。
 「それでは合図とともに勝負を開始してください・・・。
 私の上げた腕が、
 号令とともに振り下ろされたときが開始の合図です・・・。
 準備はお二人ともよろしいですかな?
 では・・・始め!!」