Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

クラトスとビア 4

 
巨石の門は全開となる!
そしてタケルたちの目に、その黒犬・・・いや、犬といって良いのだろうか?
あまりにも巨大なその体躯は、
もはや、犬という種の限界値を超え、
まさしくヒグマを連想させるほどの大きさだ。
獣・・・今は、そう認識するしかない。
その黒い獣は四肢をこれまた巨大な鎖で繋がれ、
その鎖それぞれにつき、この街の兵士が四人ずつ押さえつけている。
そしてこの獣、
既に四つんばいの状態で、その身の高さは大人たちの身長とほぼ同じなのだ。
立ち上がるとしたら、果たしてどれほどの大きさか。
仰々しい口輪をあてがわれている様だが、
別の調教師のような男が、その獣の喉もとの留め具を外すと、
大量の涎が滴り落ちると同時に、
凶悪な牙の並びが剥き出しとなる!

 「この街の番犬、ケルベロスといったところか・・・!」
サルペドンの解説に、タケルは前方を睨みつけたまま、サルペドンに叫ぶ。
 「おいおい、サルペドン!
 こういう情報は事前に教えろっつーんだよ!」
 「バカを言うな、
 私がこの地下世界にいたのは100年以上も前なんだ、
 その時代に、こんな番犬はいなかった。」
ある意味、いつもの調子だ。
一瞬でも気を抜けば、
誰かがいきなり目の前の獣に飛び掛られかねない状況とは言え、
先ほどの諍いなど、全くなかったかのようだ。
マリアをはじめ、部隊の後方にいる者はホッと胸を撫で下ろす。
いや、だから今はそんな事で安心している状況じゃないっ!
 「あれ? ミィナさん?」
いつの間にかマリアに並んでミィナも・・・。
 「あ、あたし、はは、さすがにこれはパス・・・。
 猪や巨大トカゲならまだしも・・・、ちょっとヤバいわ・・・。」