Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

☆冥府の王ハデス

死者を呼ぶ者 最終話

一方、 相変わらず、冷静な思考を保っているサルペドンは、 タケルの勝利への祝福などは他人に任せ、 自らにしかできない仕事に専念する。 このメタパの町の兵士たちに、 ハデスの救護と、ヘファイストス及びネレウスの解放を指示したのだ。 もちろん、ハデ…

死者を呼ぶ者 46

どの道、戦闘不能には違いない。 戦闘不能に陥った相手に対し、わざわざ止めを刺すつもりもない。 そのことを自分で認識すると、 タケルは振り返って、仲間たちに向けて腕をあげた・・・。 勝どきだ! 何か・・・自分の中でまた何かが変わった・・・。 いや…

死者を呼ぶ者 45

ハデスの跳んだ方角に向けて、 タケル最大の雷撃の津波が襲い掛かる!! 「うおおおおおおおおっ!?」 自分の命が懸かってるのだ、 ハデスも必死の抵抗! 最後の手槍を自らの前方に投げ出し、雷の避雷針にっ! 瞬きする間もなく雷の激流は、この場にたった…

死者を呼ぶ者 44

先程、ハデスが自ら吐露したとおり、 もうこの男に奥の手など残っていない。 本来ハデスの戦術は、 霊体攻撃で自我を崩壊させた者に、手持ちの槍を突き食らわすという、至極明快な戦術だった。 スサという多勢を前にした状況にあっては、姿を透明にして、 絶…

死者を呼ぶ者 43

タケルはしばらく動けないままでいた。 自らに起きたカラダの変化・・・。 美香の「魂?」・・・ 彼女の意識を構成する何かが、自分の中に入り込んでくるという感覚の意味、 それらを自分なりに解釈しようと、 どう消化を試みていいのかわからなかったのであ…

死者を呼ぶ者 42

美香の本心・・・、 それは偽らざるものだろう・・・。 あの時の満足そうな表情を忘れるものか・・・。 だがそれは美香の本心かもしれないが、 タケルは違う。 タケルが望んだのは、姉の幸せ・・・。 子供のころからあまりにも重過ぎる責任と重圧を背負わさ…

死者を呼ぶ者 41

歪む? いや、これは溶け始めているのか? 霊体である美香のカラダが、剣が刺さった喉元を中心に溶け始め、 なんと天叢雲剣の剣身を伝って、タケルの腕に・・・胸元に流れ込んでいく・・・。 いつの間にかタケルの喉へも、美香の木刀が吸い込まれていく。 「…

死者を呼ぶ者 40

「何をしているのです、サルペドン! 早く、彼らを・・・!?」 サングラスの奥から・・・、 サルペドンの左目は、変わらず二人の姿を映し続けている・・・。 「マリア・・・あれは、・・・何だ?」 「・・・え?」 「お前の目には何が映っている? 美香とタ…

死者を呼ぶ者 39

辺りにこだまするはハデスの嘲笑・・・。 「フ・・・ふははっ! フハハハハハハッ!! 素晴らしいっ! 素晴らしい勝負だったっ!! この私が見とれてしまったよっ!? 確かにこの地下世界でこれほどの悲劇を見ることなど有り得なかった!! 感動ものだ! 他…

死者を呼ぶ者 38

タケルは天叢雲剣を片手に、その剣先を美香の中段にあわせる! ・・・いや、握りの位置が高い。 右腕と剣の並びは水平状態に近い。 一方、美香は先ほどと同じく、 両手で八双の構えから下段へと移行する。 二人を中心に、全ての時間と空間が凝縮されて行くか…

死者を呼ぶ者 37

だが、美香はタケルの声に応じることもない。 そのまま・・・ それ以上、変化を生ずることもなく、 そのままの姿・声でタケルをたしなめる・・・。 構えなさい・・・ そして・・・ 恐 れ な い で・・・ その言葉にタケルの血が沸騰してゆく・・・。 全身の…

死者を呼ぶ者 36

なんだ? 様子がおかしい? スサの一団・・・いや、術者であるハデスに至るまで、 この苛烈な戦いから、これまで目を逸らす事ができずにいた。 呼び出された魂の残骸・・・、 タケルの意識の中にこびり付いていた、美香の影・・・、 そんなものに高度な知能…

死者を呼ぶ者 35

美香の叩きつけるような攻撃に変化はない。 だが、 それまで一本調子とも思われた打撃に、 緩急の変化や巧みなフェイントまでも組み入れられてゆく。 直接、剣を交えている者でなければ分かるまい。 しかし、そのことはある一つの示唆をタケルに与えていた。…

死者を呼ぶ者 34

もう誰にも止められない、 誰にも邪魔できない・・・! 激しすぎる攻防の応酬が始まったのだ・・・。 劣勢に見えていたタケルも、徐々に美香の攻撃に対応できるようになってた。 確かに美香の剣の技術は、女神アテナを髣髴とさせる神がかり的な強さだ。 違う…

死者を呼ぶ者 33

・・・ユラリ、 美香から受ける重圧が変化する。 このプレッシャーにタケルは記憶がある・・・。 これから始まる激しい攻撃の前触れだ。 一瞬だけ美香は後ろに下がると、 中段の構えから八双の構えと移行する・・・。 そしてその木刀の剣先は、弧を描く軌道…

死者を呼ぶ者 32

確かに現実に起きるであろう、剣と木刀の衝突の感触ではない。 実際に何かがぶつかった音も聞こえなかった。 ただ、なにか空気の壁にでも打ち付けたかのような感触・・・、 それがタケルの直感であった。 「夢と一緒なんです・・・!」 マリアがつぶやく。 …

死者を呼ぶ者 31

タケルの想いなどお構いなしに、ついに美香が動き出す・・・。 あまりにも・・・ 本当の彼女なら考えられないほどゆっくりとした動きで・・・。 美香の木刀は中段から、丁寧すぎる動作で上段へと振りかぶられる。 ・・・美香は練習のつもりなのだろうか? そ…

死者を呼ぶ者 30

これまで戦闘では無敵を誇っていたタケルが後ずさる・・・! 足場が悪い為に、ついついカラダを崩しそうになるがギリギリで持ちこたえてはいる。 一方・・・生前の美香はいざ知らず、 ここに「ある」のは実体のない虚像なのだ・・・。 どんな足場だろうと、…

死者を呼ぶ者 29

サルペドンの心中などお構いなしに、酒田は自分の危惧を主張する。 「い、いや、確かにタケル自身はそう思ってるかも知れねーけどさぁ!? 実際の美香の実力と比べてどうなんだよ!?」 そこはマリアの方が正しい判断を下せるかもしれない。 「・・・いえ、 …

死者を呼ぶ者 28

傍で目が釘付けになってる酒田は動揺しまくる。 「あっ、あれよぅ? やばくねーかぁ!? タケルに美香は消せねーだろっ!? そ、それにまともに戦ったって、美香の剣術のほうが上だって・・・! そりゃあタケルだって強ぇーけどさ!? あいつには美香へのコ…

死者を呼ぶ者 27

その言葉と共に、 美香は両手で木刀の柄を握り締めた・・・。 タケル・・・ こっちへいらっしゃい・・・ 「み・・・美香姉ぇ・・・!? その木刀で何をする気だ!?」 美香の瞳に生気は全く感じられない。 なのに・・・その口元は喜んでいるように見える。 …

死者を呼ぶ者 26

一縷の望みをかけてタケルは姉を呼ぶ・・・。 これはハデスの呼び出した幻影に過ぎないというのに・・・。 タケル・・・? 「美香姉ぇっ!? オレが分かるか!? そうだ、タケルだよ!!」 タケル・・・私の弟・・・、私のかわいい弟・・・ 「・・・美香 姉…

死者を呼ぶ者 25

祓いの剣で「消し去る」? ここまでほとんど反射神経同然で戦ってきたタケルにも、今までの流れは漠然と理解している。 自分の心の中に澱として残っていた「人間の死」・・・。 今までは、殆どの相手が敵だった・・・。 たとえ、今この時という一時的な現象…

死者を呼ぶ者 24

すぐにタケルは祓いの剣に移行する構えを見せた! また亡者か!? 芸がない! 誰を呼び出そうとも、もう・・・ え・・・っ ? タケルの瞳が大きく開かれる・・・。 後ろにいたサルペドンたちですら動きも思考も凍りつかされた。 もう、 その姿は誰も見ること…

死者を呼ぶ者 23

ハデスは自らの術を破られ、茫然自失の状況だ。 ゆっくり、一歩ずつ岩場を登ってくるタケルの前に、 ようやく我に返り、逃げるように後ずさる。 それを黙って見逃すタケルではない。 「ハデスっ! ここまで来て逃げるのか!? 敵わないと思うなら、大人しく…

死者を呼ぶ者 22

今度は何が起きているのか、理解不能の事態に陥ったのはハデスだ。 タケルが踊り始めると同時に、自分が呼び出した亡者たちの様子に変化が訪れていたからだ。 「なんだ!? あの奇妙な舞いは何だ!? 何が起きている!? どうして亡者たちの動きが止まってい…

死者を呼ぶ者 21

騎士団三人の亡霊に囲まれ、 なおかつ背後からはオリオン神群の二人が、 今度は這いつくばってタケルの足首にすがり付こうとしている。 その後ろでは未だにデュオニュソスが笑い続けている。 タケル、お前は生贄だ・・・ そろそろ気づけ・・・! お前に与え…

死者を呼ぶ者 20

彼ら亡霊たちの言葉が、 本人たちの今わの際の本心なのか・・・、 タケルの妄想が生み出した幻なのか、 はたまたハデスの躁霊術によるものなのかは一切わからない。 だが、彼らとの真剣な戦いの結果を、他人に土足で踏み荒らされるようなこの所業に、 タケル…

死者を呼ぶ者 19

続いてガワンが振りかぶってきた! これだけカラダが萎縮している状況で、ガワンのパワーを受け止めれる自信などない! 今は「最強の硬度」を誇るルドラの鎧も装備していないのだ。 ギリギリでカラダを避けることに成功したタケルだが、 ガワンはかわされた…

死者を呼ぶ者 18

その姿は、スサの仲間達の目にもはっきりと映っていた・・・。 しかし、あの騎士団の最高幹部達が、今また彼らの前に立つなどと誰が想像できよう? もうタケルの電撃は期待できない。 以前、一人一人ですらあれだけ苦戦を強いられたのに、 それが今や、3人…