Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

クラトスとビア 6

 
天叢雲剣を抜くタケル!
既にその瞬間、青い小さな電流が剣身を疾走する。
放電に巻き込まれるのを恐れて、
グログロンガと酒田は、タケルから距離をとった。
一方、獣を操る調教師は、
獣の後頭部を2、3回撫で回すと、
その腕を高くかざした後、
一気にタケル達に向かってその手を振り下ろした!!

同時に獣を押さえつけていた鎖が外される!
 グァルルルルルルルッ!!
待ち構えていたように黒く巨大な塊は突進を開始した!
その四肢の動きと共に辺りの岩場が揺れる!
スサの部隊の殆どは、戦闘用の銃を構えるも、
中途半端な威力では殺傷力は期待できまい。
・・・やはりタケルの右手の雷電で・・・。

だが、タケルにとって、天叢雲剣はあくまでも保険である。
いや・・・、
その放電は無意識に発現してしまっただけかも・・・。
スイッチが切り替わった段階で、
タケルは眼前の獣ごときに怯える気配はない!
その眼光は、強烈に・・・確実に、今にも飛びかかろうとする獣の生存本能を射抜いていた・・・!
動物全てが持つ、死への恐怖・・・。
獣は直感で理解した・・・、
そこに決して牙を向けてはならない存在がいることに・・・。

地下世界の住人誰もが、
真っ黒い獣の巨体に組み敷かれるタケルを予想しただろう。
すぐに、真っ赤な流血が飛び散り、肉片がバラバラに貪られる・・・、
そんな予想を・・・。
だが、それに反して突然、獣は電流でも浴びたかのように、ビクついて後ずさった。
その視線はタケルに向けられていたが、
今や、落ち着きなく後方左右にステップを踏み続け、
怯えるような悲鳴を上げ始めたのだ・・・。