Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

クラトスとビア 14

 
なるほど、
街の外には、馬車ではけっして登れないような、ゴツゴツとした岩場がある。
石灰岩の成分が溶け出している白い渓流のすぐ傍だ。
この傾斜を登りきるだけでもかなりの体力を使いそうだが、
逆に街中と違って、罠などを設置されていることもなさそうだ。
ならばクラトスの申し出を断る理由もない。
 「了解した。
 この上にハデスも待っているのだな?
 ならば、一気に勝負を決してくれる。」
 「おっと、ポセイドン様、もう一つ。」
 「まだ何かあるのか?」
 「ハデス様はあなたと戦う意思はありません。
 これはゼウス様も同意の上です。
 あなたを討つのは、ゼウス様直々にと考えていらっしゃるのでしょう。
 ・・・あなたも、無闇やたらと能力を使おうなどとは思ってはおりますまい?」
 「それは状況次第だ、
 失うものが何もなくなれば、この力を使うのに何の躊躇いも無くなるだろう。」
 「おお、それは恐ろしい・・・。
 よろしいでしょう、我々は、ポセイドン様がピュロスの都にやってくる前に、
 それ以外の蝿たちを駆除せよ、と言われているだけです。
 私たちが戦うのは『地上の者たち』だけ・・・。
 そこの所もご了解いただけますな?」
 「クラトスよ、お前の主張は理解した。
 ではタケル・・・。」
ようやくタケルの出番だ。
さっきっから、会話に参加できなくてうずうずしていたのだ。
 「おう! 俺が相手するぜ!
 さっさと場所を案内しろ!」
と、強気のタケルだが、この後、日本語で、
クラトスたちにばれないように小声でサルペドンに話しかけた。
 「ヒソヒソ) サルペドン、それでこいつらの能力は?」
 「・・・臆するな、他のオリオン神群に比べればゴミのような能力だ。
 気をしっかり持っていれば、脅威など何もない。」