Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死者を呼ぶ者 39

 
辺りにこだまするはハデスの嘲笑・・・。
 「フ・・・ふははっ!
 フハハハハハハッ!!
 素晴らしいっ!
 素晴らしい勝負だったっ!!
 この私が見とれてしまったよっ!?
 確かにこの地下世界でこれほどの悲劇を見ることなど有り得なかった!!
 感動ものだ!
 他の神々にも見せたかったものだ!
 いやあ、最高の結果を出してくれたっ!
 私の期待以上だよっ!!」
普段、寡黙なハデスが珍しく雄弁に喋っている・・・。
途中、雲行きが怪しかっただけに、
この結末に安心したのだろう。

 「・・・この野郎っ!! よくもタケルをっ!!」
肉親を弄ばれたタケルの悔しさは良くわかる・・・!
ミィナはまるで自分の事のように怒りを露にした。
 あいつの・・・あいつの気持ちを踏みにじりやがってぇぇっ!!

一方、マリアはすぐにタケルの救助に向かうべきだと判断した。
美香の亡霊に喉を貫かれたからには呼吸ができなくなっている筈、
ただし、あくまでも肉体を損傷されているわけではない。
ショック症状か、精神的な障害を受けている可能性が強いので、
それらに対応できる処置を行わなければならない。
・・・タケルの意識が途切れれば、美香の亡霊も消えるはず・・・。
ならば一刻も早くタケルを・・・。
 「サルペドン!?」
その間、誰かがハデスを抑えてなければならない。
姿を消すことのできるハデスを感知できるのは自分だけだ。
ミィナにしても、グログロンガにしても、このままではハデスに立ち向かえることはできないのだ。
サルペドンなら、何らかの手を打てるだろうか?

・・・しかし、肝心のサルペドンは、
タケルと美香が交錯するその姿から、視線を外すことができないままでいた・・・。