Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死者を呼ぶ者 40

 
 「何をしているのです、サルペドン!
 早く、彼らを・・・!?」

サングラスの奥から・・・、
サルペドンの左目は、変わらず二人の姿を映し続けている・・・。
 「マリア・・・あれは、・・・何だ?」
 「・・・え?」
 「お前の目には何が映っている?
 美香とタケル・・・何があの二人に起きているのだ?」
マリアはその言葉に振り返った。
 タケルさん・・・!?

・・・そのタケルは、
マリアが断言したとおり、今や呼吸を封じられていた・・・。
美香の木刀が喉下をざっくりと穿ち、
そのことによって、まるで自分の喉が消失してるかのように錯覚している。
息を吸う事も吐く事もできない。
このままでは窒息する・・・。
だがタケルにとって、今、そんなことはどうでも良かった・・・。
自分の天叢雲剣も美香の喉を貫いている。
それこそ霊体には全くどうでもいい。
大事なことは一つ・・・。
天叢雲剣の真上に浮かんでいる美香の顔が微笑んでいたのだ・・・。

 もう何も心配、要らないね・・・

タケルは震える口を開く。
呼吸ができない以上、声だって出ない。
だが、その口でタケルは必死で姉の名を呼ぼうとしていたのだ。
そして、
何が起きているのか、
美香の喉を貫く天叢雲剣の周辺が、にわかに歪み始めた・・・!