Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死者を呼ぶ者 43

 
タケルはしばらく動けないままでいた。
自らに起きたカラダの変化・・・。
美香の「魂?」・・・
彼女の意識を構成する何かが、自分の中に入り込んでくるという感覚の意味、
それらを自分なりに解釈しようと、
どう消化を試みていいのかわからなかったのである。

だが・・・一つ確実なこと・・・。
美香姉ぇは自分と共にいる。
もう、その笑顔、あの声、・・・それらを見聞きすることなどないのだろうが、
恐らくこれから自分が出会うであろう、様々な経験、出会い、
喜び、苦しみ・・・それらはきっと自分ひとりで味わうものでなく、
いつも美香とともに乗り越えてゆくことになるのだ・・・。
今はそのことだけ、理解すれば十分・・・。

タケルの目が見開く!
その視線の先には、オリオン神群・死者の王ハデス!!
今、タケルに起こった不思議な現象を、誰よりも理解できない者がこの男だ。
傍から見てもその狼狽振りが良くわかる。
 「・・・何故だ!?
 何故、死者に自我がある!?
 何故、お前は無事でいられるのだ!?
 い、いったい・・・!?」
そんな問いにタケルが答える義務などない。
タケルはゆらりゆらりと近づいていく。
対照的に、ハデスの足は震えながら石段を後ずさろうとして、よろけてしまう。

 バチィッ!!
天叢雲剣に再び雷電が甦るっ!
そう・・・タケルの精神エネルギーは、
今や回復するどころか、今までよりも更に巨大なエネルギーが沸き立つかのようだ。
タケルと美香・・・二人の力の結晶・・・。