Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

妖しき歓待者 1

 
冥界の王ハデスを撃破し、勢いに乗るスサの一団、
敵軍のナンバー2を打ち破って、後は最終目的地までは次の町をクリアすればいいだけなのだ。
これまで様々な障害や困難が立ちはだかったが、
どうにかこうにかここまで来た。
これより先に待ち受ける、オリオン神群ゼウスの力は強大だというが、
サルペドンと・・・そして更なる成長を遂げたタケルとなら、
恐らく勝てるのではないか?
そんな願望が彼らの心中に広がっていたのである。
勿論、タケルも楽観的とまではいかないが、
ある種の高揚感に包まれている。
次の町・・・光の女神アグレイアの治める町では、争いごとは起きなさそうだ。
これまでの疲れや怪我も回復させることができれば万々歳だ。
 「それでよー? サルペドン?
 その・・・アグレイアって人はあんたより年上なのか? 婆さんなのか?」
 「ふむ、礼儀正しくしてくれよ?
 100年前の戦いでは、オリオン神群同士の諍いでもあったし、どちらにも付かずに中立を保っていた。
 だが、今度は私たちは、あくまで外来者・・・異邦人なのだ。
 争いごとを好まないのは変わってないはずだが、
 デメテルのように我らを歓待してくれるとは限らん。
 あまりはしゃぐなよ? にべもなく追い払われる可能性ぐらいはある。」
 「まぁ・・・そりゃそうだろうな・・・。」

それでも十分だ。
一行は、街道沿いに進み、近隣の住人や商人たちの奇異の目で見られながらも、
何事もなくアグレイアの町を目指していた。
時刻は昼前のはずだったが、
・・・ふとミィナが頭上の違和感に気づいていた。
 「・・・あれ?」
今日のお供にはインド出身のクリシュナが控えている。
 「どうしました、ミィナさん?」
 「ん? ああ、気のせいかもしれないけどさ?
 ・・・今、昼前だろ? 上の太陽、やけに薄暗くねーか?」
 「おや・・・? そう言えばそうですな? 霧や雲がかかってるようにも見えませんし・・・。」