Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

妖しき歓待者 9

 
 「あー・・・、あなたは女神アグレイアさんの神官?
 そんなにビクつかなくても大丈夫ですよ、
 オレらは敵対するもの以外に剣を向ける事はありません。
 現に、デメテルさんやアテナさんとは友好的に迎えてもらいましたし・・・。」
その言葉に、猫背の男は精一杯の笑顔を浮かべる・・・。
ぎこちなさは相変わらず取れないが・・・。
 「あ、ああ、はい、私はこの神殿の神の奴隷です、
 そ、そうですね、
 アグレイア様もあなた方を歓待したいと仰ってます。
 ど、どうぞ、この奥へお進みください、
 私は役目でここを動くことは出来ないのですが、
 アグレイア様の玉座へは、この石段を登って、真っ直ぐお進みになれば迷うこともないかと・・・。」
そんなんでいいのか? と思いつつも、
タケルは指し示された神殿の入り口に足を向ける。
一方、違和感を感じているのはサルペドンも同様だが、
彼は別のことも気になっていた・・・。
 「もし?
 すまんが一つ聞きたい・・・。
 これだけの規模の神殿なのに、そなた以外の人間の姿が見えないのはどういうわけか?」
猫背の男はビクついている・・・。
言われてタケルも辺りを見回す。
町には普通に、労働者や商人、子供たち、の姿があった。
それだけに神殿の周辺に人がいないというのが、アンバランスだ。
まさか・・・待ち伏せ・・・。
そう考えるのが自然な気もする。
だが、マリアが否定的だ・・・。
 「この人からは敵意も害意も感じませんが・・・。
 単に怯えているだけ・・・。」
じゃあ、やっぱりオレ達スサを怖がっているのか?
猫背の男は慌てて否定している。
 「あ、えっ! その、神殿を守る兵隊は、
 あー、王都ピュロスに召集されましたっ!
 で、他の者達はあなた方の歓待の用意でバタバタと・・・っ!」