Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

妖しき歓待者 10

 
ふーん・・・、
なるほど、それはそれで一理ある。
決戦が王都ピュロスになるのであれば、
周りの村や町から兵士を集めるのは自然だろう。
事によると、神殿の守備が疎かになっていることが原因で、
この猫背の男は怯えているのかもしれないし。
ある程度、理由に納得したタケルたちは、そのまま神殿の石段を登り始めた。
クリシュナや酒田さんたち、ミィナもあらかた神殿の入り口の中に入り、
最後尾のサルペドンで終わり、・・・という直前でサルペドンは足を動かすのを留まった。
再び一つの疑問が沸いたからだ。
 「ついでにもう一つ聞きたいんだが・・・。」
猫背の男はまだ怯えている。
 「は、はいっ!?」
 「アグレイアの神殿に入る我らの武装解除は必要ないのか?
 ・・・全員、武器を携えたままだぞ?」
とはいえ、どうやら本当に待ち伏せなどの類の罠ではなさそうだ。
さもなければ武装解除やボディチェックを怠ることは考えづらい。
・・・それともこの猫背の男が無能なだけなのか・・・?
今頃思い出したって・・・。
 「ああああ、そ、それは・・・その・・・。」
猫背の男はすぐに、先を行ったタケルたちを呼び戻しそうな勢いだったが、
サルペドンすら意外なことに、その行動を思い留まったようだ。
 「あ、い、いえ、そ、そのまま、お入りで大丈夫です・・・。」
本当か?
アグレイアはそんな呑気な人間だったか?
だが、神殿の男が「必要ない」と言い切るなら、スサとしてもわざわざ武器を置いていくこともない。
宴でも用意されているなら、控え室にでも荷物と一緒に置いていけば良さそうだ。
サルペドンが用を済ませ、タケル達に追いつこうとすると、
今度は猫背の男がサルペドンを呼び止めた。
 「あ、あの・・・。」
 「ん? まだ、何か・・・?」
 「もしかしてあなた様は、大地を治める・・・」
もう、サルペドンの正体はピュロスじゅうに広まっているのかもしれない。
 「私か・・・、いかにもかつてこの地にあったポセイドンだ・・・。」
 
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