Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウス対ポセイドン 5

 
北極の真下だって?
いつの間にか、そんな遠くへ移動してきたのか。
もちろん、地表の遥か下方に位置するこの地では、
実際の地上での距離より大幅に短縮されているのだろう。
そして、歩かない分だけ、周りの状況に目を配りやすいタケルが、
もう一つの変化に気づき始めた。
 「おい、みんな・・・、
 辺りを見回してみろよ・・・。
 今までもこの辺の住人が、物珍しげにオレ達を見ていたが・・・、
 どうやら遠巻きに兵隊たちも監視し始めているようだぜ。」
なるほど、
この辺りは王都ピュロスの街の外に位置し、
それほど人間の数が多いわけでもない。
だが、町の外へ行く行商人や、遊牧民が時折現れるその遠くで、
隊列ともいえぬ程度の人数だが、
スサの一隊を取り囲むようにして、ゆっくりこちらを追ってきているようである。
しかし、殺気は感じない。
とは言え、自分たちの存在を隠して尾行しているわけでもないので、
彼らの目的は、あくまでも近隣住人の警備か、
それとも・・・スサの一隊を「逃がさない」ための追尾なのかもしれない・・・。

やがて景色に変化が生じてきた。
前方に小高い丘・・・というより山のようなものがある。
そこに白く光る建造物があるようだ。
この距離から見えるということは、かなりの大きさのようにも思えるが、
そのうち、その山の真下にいくつもの建物が見えるようになってきた。
どうやらあれが・・・。
 「ついに着いたんだな・・・?
 王都ピュロス、・・・オリオン神群の王ゼウスがいる本拠地に・・・!」
間違いない。
さらに進むと、大勢の兵隊たちがその街の入り口を固めていた。
同時に、先ほどから、スサを取り囲むように付いて来た兵隊たちも、
スサの逃げ道を塞ぐようにしてタケルたちを取り囲んだ。