☆神々の王ゼウス
☆ 「黒十字団」改め「黒十字軍」 党首ルードヴィッヒ率いる謎の集団、元はドイツを本拠地とする傭兵部隊を統率していた者だが、 彼の真の姿を知る者はいない。 カーリー・・・ 黒の巫女の称号を持つ感知能力者。 その力は地上でも屈指の部類に入るようだ。 …
☆ 騎士団 アーサー・J・ペンドラゴン・・・ 聖剣エクスカリバーを持つ騎士団の若き統率者。今はその大部隊を黒十字団に撃破され、 雌伏の時を過ごしている。 湖の騎士ランスロット・・・ 騎士団最強の男。黒十字団の猛攻に騎士団が耐え抜いているのも、この…
緒沢タケル編 登場人物一覧 ☆ スサ 緒沢タケル・・・ 古代神スサノヲの血脈を伝えるスサの総代。 人間の限界を超えた戦闘能力と超常能力に目覚め始める。 少しずつ、自分の体に流れる神性を自覚していく・・・。 カール・サルペドン・・・ スサ副司令官にあ…
自らの配下であるモイラがあんな目に遭ったと言うのに、 ゼウスは相も変わらず冷静なままだ。 実際、ゼウス本人が地上に出てゆけば、 どんな軍隊だろうと、壊滅し尽くせる自信があるのだろう。 だが、たった今、オリオン神群は地上に干渉しないと取り決めた…
家畜が絞め殺されるかのような悲鳴があがるっ! タケルたちの目の前で、二番目のモイラが白目をむいて立ち上がったかと思うと、 カラダを異様に捻りながら、口から泡を吐いて卒倒したのだっ! いったい何が起きたっ!? 「何を視たのッ!?」 マリアがその原…
その内、モイラの叙述にも変化が現れた。 「大きい宮殿が見えます。 白いレンガ、宮殿の上部はアーチ型の円みを帯びています。 周りの町の人々の喧騒に比べ、あまりにもひっそりとして・・・奇妙です。 人はいないわけでは有りませんが・・・、 ここは・・・…
タケルは勿論、サルペドンにした所で、そこまでの知識などありはしない。 「マリアよ、地下王国だと? それはこのピュロスとは、全く関係はない場所なのか?」 「はい、・・・というか私にしても詳しい内容は一切わかりません、 あくまでも伝説です。 むしろ…
感知能力を持たない人間には、 モイラの説明はわかりづらいかもしれない。 以前、感知型の能力者には、 ラジオのように情報を受け取るトランス型と、 自らの精神を遠隔地に送り込むシャーマン型と、 二通りあることを説明したのを覚えているだろうか? 実際…
そこで、 これまで控えてきた最後のモイラ、次女のモイラが、 二人の姉妹の間に立ち、透視を始める。 「それでは地上の皆様、 今を見通すモイラが、現在の状況をお伝えします。 ・・・さすがに地上全ての出来事を伝えることは出来ませんので、 『彼ら』の中…
基本的に、 オリオン神群側としては、地上がどうなろうと一切知ったこっちゃない。 今や屈辱感すら覚えるスサのメンバーやサルペドンに、 この地に滞留されること自体、苦々しいだけである。 特にゼウスは。 「それで・・・地上の者どもよ、 ポセイドンよ、 …
「・・・ちょっと待った。 魔法・・・魔術・・・。 あのカオスって奴の額にあった奇妙なタトゥー・・・。 あれ、もしかして五芒星って奴じゃねーのか・・・。」 マリアも確証があるわけでもない。 しかし、タケルの疑問の途中で気付いてしまった。 否定する…
しかしゼウスは一向に怯まない。 さらに、またも説明をモイラに丸投げした。 「しかしタケル様、もし仮にその黒十字の者達が、 私たちオリオン神群に近い力を持っていたら何とします?」 な ん だ と ・・・!? タケルの思考は一時凍結する。 そしてその凍…
その黒十字団とか言う組織の名は、タケルには初耳だ。 だがサルペドンは勿論、壁際に控えているクリシュナや酒田には聞き覚えがあるようだ。 「おいおい? クリシュナさんよ、 確か黒十字団って・・・。」 「何かと黒い噂の絶えない組織だったと記憶しており…
サルペドン達の反応を確かめつつ、末席のモイラは話を続ける。 「その猛き刃はあまりにも圧倒的でした・・・。 地上のいかなる軍隊も、彼らの歯牙に打ち砕かれ、 その軍勢はあっという間に地上を飲み込んでしまったのです・・・。 私には視えました・・・。 …
「モイラよ、端的に言ってもらおうか? これ以上、何が我らを待ち構えているのだ? オリオン神群との戦いが終わった今、何が我らの脅威となるのか?」 半ば強引にサルペドンは話の筋を誘導する。 地上には騎士団の最精鋭たちが未だ残っている。 彼らに全てを…
峻厳なる態度でゼウスはタケルを見つめるも、 直接、彼の質問に答える様子は無い。 もともと、自分が話そうと思っていた内容について、順を追って話すだけのようだ。 「我々もモイラの予言が外れるなどとは考えてもみなかった。 ハデスまでもが地上の人間に…
タケルがディオニュソスを誤って殺害したことが、 彼の心の中に重荷となっていることはサルペドンにも理解していた。 それに関し、今この場でタケルを労わる空気でもないので、 話を本題に戻すしかサルペドンに出来はしない。 「ゼウスよ、 その件に関しては…
「フン、先の戦いは貴様の勝ちではないが、 私の負けであることは理解している。 だが、聞け。 ・・・今度の戦い・・・共に腑に落ちないことが多すぎはしまいか?」 ざわついていた会場が、急に冷たい水でも浴びせられたのかのごとく静まり返った。 誰もが心…
話を戻そう。 サルペドンはゼウスの真意を読めず、首をかしげた。 「んん? 何か付け加えたいものでもあるのか?」 「そうだな、その合意の先を確定しておきたくてな、 ポセイドンよ、貴様が現在所属する、そのスサと言う集団、 お前たちがその地上の他の勢…
ゼウスとハデスは憮然として会談に臨んでいる。 腕を組んで偉そうにしているゼウスだが、 その心中はまな板の上の鯉、ということだろうか、 終始無言のままだ。 さて、会談の内容についてだが、 先の戦いの後、タケルがアテナに明言したように、 互いのこれ…
サルペドンとゼウスの死闘から三日が経過した。 勿論、アスクレーピオスの治療は完璧ではあったのだが、 体力・・・また彼らに限って言えば、生命力そのものの回復に多大な時間を要するためで、 こればかりはアスクレーピオスの神術を以ってしてもどうにもな…
「やれやれ、 この老人になんてぇ無茶をさせるんだ、 ・・・おお、ポセイドン様、お久しぶりではないですか、 あなた様も随分、無茶な・・・」 と言ってるところで、イリスが金切り声をあげた。 早くゼウスを救命せよ、とのことだろう。 髪もボサボサ、服装…
しばらくアテナはタケルの瞳を見続けた・・・。 やがて、彼の意思を確かめると、 にっこりと笑って、踵を返す。 アテナは力強く、サルペドンとゼウスの決闘の場を見下ろし、 まさに世界中に響き渡るような雄雄しい声をあげたのだ。 「我が名は純潔の女神アテ…
「鎮まりなさい!」 ピュロス兵、スサ全ての者がその声に心を奪われる。 青い梟の瞳・・・、 白銀の槍と装飾の施された神々しい盾・・・! 高貴なるたたずまいと、誇り高き知性を兼ね備えたオリオン神群最高位にある女神・・・! 「ア、・・・貴方はアテナ様…
天叢雲剣の電光は、たちまちゼウスの肉体を蹂躙するっ! その光景、もはや誰にも目を背けることが出来ない。 ただ、事の成り行きを、呆然と目を奪われるだけ・・・! そして・・・、 天空の王は墜落する・・・! ゼウスが、 ついに大地に沈み落ちた響きは、…
そこでマリアはタケルの本当の作戦に気づいた! まだ、他のメンバーは何のことかわからない! そこで彼らはタケルに倣い、 今、まさにゼウスが最後の攻撃を繰り出すその光景に目を奪われた。 いったいこの状況で、どうやって!? 天空にあるゼウスの・・・そ…
一縷の望みどころか、 最低最悪の事態だ。 鬼に金棒などという生易しいレベルではない。 雷を操る神が、更に雷を生み出す道具を手に入れたのだ。 その相乗効果とはいったい如何なる規模のものか? サルペドンはもう何もできない。 ただ、上空にあるゼウスの…
上空には未だ君臨するゼウスの姿! その右腕にはあの! 雷を呼び起こす伝説の神剣天叢雲剣!! 付け加えるならば・・・、 ゼウスの左足が完全にびしょ濡れだ。 今もその足から大量のしずくが、遥か下の地面にまで滴り落ちている・・・。 足元はまたもや水ぶ…
当のタケルは天叢雲剣を投げつけた態勢のまま、 あまりの激痛に顔を歪めながら固まっている・・・。 だが、彼の心中は、もはやサルペドンの反応のみに傾けられている。 サルペドン! 気づいてくれ!! サルペドンは・・・、 一度だけタケルのほうに視線を送…
普段のタケルが、その化け物じみた筋力をフルに発揮すれば、 100メートル以上離れたサルペドンの場所まで届いたかもしれない。 だが今や、タケルのカラダでは30メートル吹っ飛ばすのでギリギリだろう。 コントロールだって滅茶苦茶だ! 「おい、タケル…