Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウス対ポセイドン 17

 
 「唸れ! 大地!!」

まさしく「大地の怒り」とする表現がふさわしい!!
地下世界のあらゆる物体・存在全てが激しく鳴動しているのだ!
ピュロスの兵は、大地に打ち付けた丸太にしがみつき、
スサの仲間は、ほとんどが立っている事もできずに、
地べたにしゃがみ込むか、這いつくばるか・・・!
ミィナはタケルの車椅子をほっぽりだして、ちゃっかりピュロス兵の用意した縄にしがみ付いていた。
タケルは車椅子を倒れないようにするので精一杯だが、
その視線だけは戦場から外さずに、
歯を食いしばって、この大いなる大地の揺らぎに耐え抜いていた。
そう・・・こんな能力を使われたら、
どんな能力者だって、自分の得意技を発現する事などできやしない!
だからこそポセイドンは、ゼウスと並び、オリオン神群最強と呼ばれていたのだろう。
そして、敵味方を関係なく巻き込むがゆえに、
これまで殆ど使うことを封じられていた禁断の能力・・・。

だが、一対一の戦いなら、動きを封じられた相手に近づき、
絶対的な優位を以って、致命の一撃を食らわすだけでいい!
アレスに対してそうだったように、ゼウスに対しても例外なくそれは・・・!

 「!?」
だが・・・次にタケルは信じられない光景を目撃する・・・。
この地にあって、誰しも動けない・・・何も出来ないはずであるのに、
眼下に拡がるくぼ地の中の「二人」は、何事も無いように立ち尽くしているのだ・・・。
 「ど・・・どういうこ、ことだ!? サルペドンは と、当然としても、ゼウスまで!?」
タケルの後ろのほうで、
それまで感情も見せなかったアンピメデスは、ここで初めて哄笑をあげる。
 「ふ、フハハハハハ!
 と、当然でございます!
 あなた方は、ゼウス様の能力を『雷』を操るだけと勘違いしておいでではございませんか?
 否!!
 ポセイドン様が大地を操るなら・・・!
 ゼ、ゼウス様は『天空』の支配者でおわすのですぞ!?」
 「え!? て、天空!?」
そう・・・、
対峙するサルペドンははっきりと認識できた!
自分が大地を揺する能力を使うか使わないか、ギリギリのタイミングで、
彼は・・・ゼウスは自らの能力の一端を垣間見せたのだ・・・!
 「ゼウス・・・貴様、レビテーション・・・空中浮揚を・・・!!」