Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウス対ポセイドン 18

 
そのゼウスは口元に緩やかな笑みを浮かべ、
ゆっくり・・・しかし確実にその体を大地から浮かせてゆく・・・。
サルペドンの顔の角度も当然、それにあわせて上空へ向けて・・・。
次第に空に浮き上がるゼウスは両手を広げ、
もはや、サルペドンの遙か10数メートルもの高さに舞い始めていたのだ・・・!
 「ハッハッハッハッハ!
 かつての同胞、ポセイドンよ!
 まさか忘れてしまったのではあるまいな!?
 この私の力を!!
 それとも呆けてしまったのかっ!?
 貴様では・・・
 決してこの私の能力に届かないということをなぁっ!!」

なんという事だろうか?
サイキック能力に目覚め始めたタケルにも、
今のサルペドンの大地を揺する能力が、どれほど巨大な物かは充分に理解できる。
それが・・・単純に体を浮かす・・・。
それだけの能力の前に全て封じられてしまうなんて・・・。
こんな呆気なく・・・。

そしてゼウスは笑っているばかりではない。
大仰に広げていた両手の手のひらを、
少し・・・まるで何かを掴むかのような仕草で指を曲げた・・・。
何をするつもりなのか?
誰の目にもそれはわからなかった・・・。
だが・・・感知能力を有するマリアには・・・、
そして同じサイキック能力を持つタケルにも、
ゼウスが何かとんでもない事をしでかそうとする事だけは、充分に察知できたのである。
だが・・・その恐るべき能力は、
完全にタケルの予想の遙か彼方の出来事を引き起こした。
 「なんだ・・・か、風が・・・ 急に風が吹き荒れ始めたぞ・・・!?」
次第にその風は勢いを増し、まるですり鉢上の闘技場になだれ込むかのように吹き荒れ始める。
それどころか、周りの景色にも変化が生じた。
辺りが薄暗く・・・いや、ゼウスのまた更に上方の空間に黒雲が立ち込め始めたのだ!!