Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地獄の扉が開く時 11

 
 「・・・ちょっと待った。
 魔法・・・魔術・・・。
 あのカオスって奴の額にあった奇妙なタトゥー・・・。
 あれ、もしかして五芒星って奴じゃねーのか・・・。」
マリアも確証があるわけでもない。
しかし、タケルの疑問の途中で気付いてしまった。
否定する事などできない。
恐らく間違いはないのだろう。
 「私はそのカオスという名の青年を見ていませんが、
 タケルさん、あなたがその徴を見てしまったというならば・・・
 その可能性はかなり高いと思います。」
 「じゃ・・・じゃあ、タナトスやデュオニュソスの奇行についてはっ!?」
それまで黙って話を聞いていたサルペドンが話に加わる。
 「・・・はっきりした事は言えんが、
 さすがにそっちまでは関係ないだろう?
 過去を識るモイラよ、そなたはどこまで見えたのだ?」
 「恐れながらポセイドン様、
 タナトス様とそちらのタケル様の戦いは、タケル様の命が吸い取られるまでは確認出来ました。
 ですが、そこから先は強烈なる光に包まれたかのようで、
 私ども3人のモイラいずれも見通すことが出来ません。
 デュオニュソス様が殺された様子は完全に私たちの目に映っております。
 確かに奇妙な振る舞いには見えますが・・・、
 特に第三者の介入する余地もなかったかと・・・。」

勝利者であるはずスサのメンバー、誰がここまでの雲行きの変化を予想できただろうか?
別に自分達が地上を離れている間に、
いっそうの混乱が生じているだけというならば、
それほど理解できなくもない事態であるはずだが、
その黒十字団とやらが、地下世界・・・オリオン神群の存在まで知っていて、
自分達スサにまで手を加えようとしていたことは、いったい如何なる意味を持つのか。
重苦しい空気が、荘厳なるはずのゼウス神殿を支配する・・・。