Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地獄の扉が開く時 10

 
しかしゼウスは一向に怯まない。
さらに、またも説明をモイラに丸投げした。
 「しかしタケル様、もし仮にその黒十字の者達が、
 私たちオリオン神群に近い力を持っていたら何とします?」

な ん だ と ・・・!?
タケルの思考は一時凍結する。
そしてその凍った時間を溶かすのは他でもない、マリアだ。
 「考えられます、タケルさん・・・。
 いえ、勿論、確証などありませんでしたが・・・、
 黒十字団の黒い部分とはまさにそこなのです・・・。
 先ほど話にあったノーフェイスというのも、騎士団が過去に葬り去った団体ではありますが、
 人間としての禁断の領域に足を踏み込み、
 得体の知れない能力を身に着けようとする者達がいたのは紛れもない事実、
 そして・・・現黒十字団党首ルードヴィッヒ・・・。
 その信仰は暗黒の領域に身を漬すものだと・・・。」
 「暗黒の領域!?」
 「悪魔崇拝・・・そう言えばわかりますか?
 タケルさん・・・!」
タケルの背中が冷たくなった。
そんなバカげた話など納得できるか?
いや、納得せざるを得ないのか?
考えてみれば、騎士団の地上侵攻以降、信じられないような事態が立て続けに起きている。
「あり得ない話だから否定する」・・・そんな行為が一切はばかれるような・・・、
むしろここは、そのバカげた空想を膨らませることこそが正しい事の様に思え始める。
 「悪魔崇拝・・・オリオン神群に近い力?
 まさか魔術とか・・・魔法とか・・・、
 そんな類の話が飛び出すってンじゃないでしょうね・・・!?
 んっ・・・?」
 「タケルさん?」
どうやらタケルは気付いたようだ。
あの・・・アグレイアの神殿にいた男カオス・・・
あいつの額には・・・。