Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地獄の扉が開く時 15

 
タケルは勿論、サルペドンにした所で、そこまでの知識などありはしない。
 「マリアよ、地下王国だと?
 それはこのピュロスとは、全く関係はない場所なのか?」
 「はい、・・・というか私にしても詳しい内容は一切わかりません、
 あくまでも伝説です。
 むしろイメージとしては、ミィナさんやダイアナの故郷、
 ウィグルを連想した方が良いのかもしれません。
 地下といっても、こんな地球の大空洞のようなものでなく、
 現在の大都市の下に埋もれている遺跡のような感覚でしょう。
 その地下に外界から隔絶した町が有り、
 宗教上閉鎖的な社会を作り上げた一団がシャンバラと言われています。
 ですが、その王国と黒十字団との関係はわかりません。
 事によると、その地下王国に住む者たちを占領して・・・?」
マリアの話はあくまでも予想を超えるところにはない。
そして、先ほどまでの感知透視を行っていたモイラならば、
マリアの言葉に反応して、彼女の疑問に答える用意もできたかもしれない。
だが、一度遊離モードに入ってしまったならば、
現実の聴覚は意味をなさない。
もし、無理矢理大声でも発して、モイラの魂を呼び戻そうなら、
そのショックのために、彼女の精神は壊れる恐れもある。
故に、ここはモイラの探知を見守るしかないのである。

 「・・・多くの人々がいます・・・。
 その風体は奇妙です。
 統一性がありません・・・、
 僧侶のような格好の者いれば、軍人や兵隊のような者もいます。
 あ、いえ、恐らく僧侶のような者はこの地に住む人々かもしれません。
 ただ、頭を下げ、その表情に喜びは見えず、まるで奴隷のようです。
 軍人達は態度が大きく粗野なイメージです・・・。
 時に僧侶達を蹴飛ばしたり、怒鳴りつけている様子も窺えます・・・。」