地獄の扉が開く時 14
感知能力を持たない人間には、
モイラの説明はわかりづらいかもしれない。
以前、感知型の能力者には、
ラジオのように情報を受け取るトランス型と、
自らの精神を遠隔地に送り込むシャーマン型と、
二通りあることを説明したのを覚えているだろうか?
実際その区分は、術者そのものによって、意識して使い分けているのかどうかは個人それぞれだ。
中には全く意識しない者もいるだろう。
地上にある、強いイメージを持つ情景をサーチしていたモイラは、
ある種の結界の中を探るには、自らのアンテナには何も情報が入らないと判断し、
その結界内に自らの精神を送り込むことを決断する。
既に彼女の魂はここにはない。
盲目のモイラが視ている物は、
強風に晒されながら、外界から一切遮断された世界・・・、
そこにあるのは忘れ去られた町・・・。
「町が有ります・・・。
でもそれもカモフラージュです・・・。
真の都市はその町の真下の世界・・・。
大地の下に広大な宮殿が・・・もう、何百年も前から存在するような・・・。」