Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

恐怖の来訪者

・・・

さて皆さん・・・、
これから述べるお話は、
紛れもなくこの私が数年前に経験した恐ろしい出来事・・・。

果たして・・・皆さんに信じてもらえるかどうか・・・、
いえ、皆さんが信じたくはないと思っても、
これは真実の物語・・・。




ただ、これはいわゆる心霊現象とか超常現象といった類の物語ではないので、
そういったお話に恐怖を覚える方はご安心してくださってよろしいでしょう・・・。


あれは・・・、死国・・・いえ、四国は徳島県
阿波の国の市街地・・・、
そこにかつての私の仮宿がございました・・・。
築年数は古い家でしたが、
増築に増築を重ねたアパートは、
迷路のように曲がりくねった共用通路、
一階はミセス向けのブティックがあり、
2階に住んでいる私は、階下の住人に気を使う必要もありません。
道路沿いに面した部屋は誰も住んでおらず、
その奥にある私の部屋はひっそりとした環境の中で、
悠々自適な部屋を見つけたといってよかったでしょう。

確か2Kだったかな・・・、トイレ・バスは別、
トイレはタイル張りで床に排水溝もありますのでお掃除がラクです。
風呂場から引いたホースでガンガン水洗いできましたし・・・。



さて、
ある日の休日・・・、外出から帰り、
部屋の玄関を開けて・・・、

(基本的に一人ですので、扉を開けると、真正面の部屋の奥の壁まで見渡せます)

開けて・・・「ただいまぁ」と独り言を言いつつ、
玄関で靴を脱いだとき、

私の視神経が違和感を告げました。




・・・部屋の奥に何かある・・・。


滅多に物を買い込まず(洋服は別)、余計な品物が部屋に存在しないはずの部屋の奥の壁に、
私の記憶に合致しないものがそこにありました。

うちわ? グローブ?

部屋は砂壁ですから、背景はカーキっぽいようなベージュのような・・・、
そこに畳と接する部分に、
モノトーンの大きな物体が存在していたのです。

グローブなんかあるはずありませんし、
うちわなら阿波踊り関連グッズで入手しやすいかもしれませんが、
そんな記憶はありません。

「な に、 あ れ は ・・・ ?」

私は湧き上がる不安感を抑え込み、
ゆっくり部屋に近づきます。

まさか泥棒が部屋に侵入し、私の私物を漁って散らかした結果も考えました。
しかし、玄関の靴や台所・・・部屋の入り口付近に異常は見られません。

そして部屋のふすまの敷居をまたごうとした瞬間、
私は「それ」の正体に気づきました・・・。


巨大なる蜘蛛!?


考えられますか?
うちわほどの大きさの生物が、床ではなく、
壁に沿って私の部屋に存在していたのです!!
それも・・・玄関先から2K分の部屋の奥隅にあることを目視できるほどの巨大さ!!

私は恐怖と驚愕で声もでません!

その生物は動きません。
死んでいるのか?

そして皆さん、
蜘蛛といってもどんな蜘蛛か!?
実を言うとあまりの衝撃で、事件後もはっきりと記憶に残っているわけではないのです。

まず体毛はありません。
ひたすらグレーです。
足は・・・足は短いです。
そして肉厚の足です。
色がグレーでなく、ハサミをもっていたら、ズワイガニとかタラバガニといったほうが、
イメージに近いかもしれません。

そして恐怖は・・・。


私は近づくこともままならず、
遠方より殺虫剤を噴霧する手段にでようとしました。
今まで動いていないとは言え、
朝にはそこにいなかったものです。
死んでいる保障はどこにもありません!

おそるおそる・・・


ブシューッ・・・

「ぎゃあああああああっ!?」

ついにガサガサとそいつは動き始めました!!
毒グモだったらどうしよう!?
ていうか、こんな巨大なクモどっから!?
と考え込んでる暇はありません。

対ゴキ用の殺虫剤は、えてしてクモに効き目があった記憶もなく、
私はソイツが壁に沿って這いずり回るのを目で追う事も出来ません。
ですがこのままでは危険すぎます。

近距離攻撃!?
怖くて近づけないし、
あんなものを仮に少年ジャンプで押しつぶしたら、
部屋の中が体液でグチャグチャに汚れてしまうでしょう!
耐えられるわけはありません!!

どうしたら!?

そうだ!!
風呂場まで行けば!!

どんな恐ろしい生物でも、
生命維持できる条件は一緒です!

ヤツは部屋を横切ることはありません、
あくまでも壁に沿って這いずり続けます!
ならば・・・


そしてついにヤツを風呂場に追い込むことが出来ました!
ガスを炊いて、シャワーのつまみをひねる!!

あとは・・・熱湯にまで!!
ヒィィィィトアァァァァップ!!

見る見る白い湯気が立ち昇り、
私の素肌にも熱気が襲い掛かります・・・!

そして、この熱湯の超高熱に耐えられる生物など、
存在できるはずは・・・ないっ!!




・・・勝負は決しました・・・。
茹で上がった物体がお風呂場のタイルの上に転がっています。
私は恐る恐る割り箸でつついてみましたが・・・、

ぶよぶよのボディはもはやピクリとも動きません・・・。

死んでいる・・・。


実を言うと、
私は最後までこの生物が、
猛毒を持ったクモではなく、
どこかから忍び込んだ「カニ」であることを望んでいましたが・・・、
それは甘すぎる幻想に過ぎないことを思い知らされるだけ・・・。

もし私が第三者なら、
ここで消防署なり警察にでも回収をお願いすべきだったでしょうが、
もはや憔悴状態の私は、
一刻も早く、この物体を部屋から除去したく、
「ソレ」を窓と隣のビルとの隙間から落下させました・・・。


きっとアリさんが始末してくれるはず・・・。


そして私の戦いは終わりを告げました。
あの生物が一体何だったのか、クモだとしたら如何なる種類のクモなのか、
いまだその正体は謎です・・・。

後にも先にも、
あのような恐ろしい体験はなかったのですから・・・。