Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー第二章 第十七話

 
丸山の豹変に戸惑ったのはこっちだ。
 「・・・? ちょ・・・え? 何のことです!?
 今の電話のことですか?
 私はあなたの番号なんて知りませんよ!」
丸山は立ち上がってこちらを見下ろした。
戦ったら、間違いなく勝ち目はないな・・・。
 「では、何故 『メリー』 などと口にした!?」
 「ですからそれは遺書に・・・・・・!」
いかん、余計なことまで言ってしまった。
丸山はニヤリと笑って、再び落ち着きを取り戻した。
 「・・・お帰り下さい。先生には伝えておきますよ・・・。」 有無を言わせぬ態度・・・、
担がれたのはこっちだったのか・・・。
私は万策尽き、落胆しながらコートを取ろうとした。

その時、またもや丸山の携帯が鳴る。
彼は 「またか」 とでもいう風に画面を見た。
 「もう演出は終わりだと、言ってあげるんですな。」
 「?」 私は未だに何のことか分らずに、彼から携帯を受け取った。
電話に出ろというのか?
携帯を耳に当てると、
聞いたことのない女性の声で、小さく、はっきりとした音声が私の耳に流れてきた・・・。

   「 わ た し メ リ - 、 今、こ の お 屋 敷 の 中 に い る の 」

それを聞いた瞬間、全ての身体の毛が逆立った・・・!
また同時に、私の頭の中で、全てのジグソーパズルが組みあがったかのような錯覚も・・・。
私は声にならない声をあげ、叩きつけるように携帯を丸山に返していた。
今度は混乱したのは丸山のほうだ。
私の錯乱振りが演技ではないと感じたらしい。
すぐに携帯を耳に当てたが、もう切れているのだろう、
すぐさま携帯を閉じて私に怒鳴りつけた。
 「おい! 『メリー』 とは誰だ!? 何者なんだ!?」
私は、先ほど取りかけたコートと手袋を握り締め、震えている事しかできなかった・・・!

 「の・・・呪われた・・・少女の 人形・・・?」