Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー第二章 第十八話

突然、家中に叫び声が響き渡る!
私も丸山も視線をドアの外に向けざるを得ない。
程なく家のあちこちから、大勢の男達のドカドカという足音が聞こえた。
ドアを開けて、丸山は近くを通った男を呼び止める。
 「どうした!? 何があった!?」
 「竹下が・・・殺されました・・・!」
 「・・・暴漢でも侵入してるのか!?」
 「分りません! 叫び声をあげたのは書生の井口です。
 ただ・・・、井口は竹下のそばで、動くマネキンのような物を見たと・・・!
 竹下は首を切断されてます!」
丸山はこちらを一度振り向いた後、もう一度部下と思われる男に話しかけた。
 「首・・・だと!? ・・・先生の護衛は?」 
 「現在、三名が!」 
 「あと二人補充しろ!」 
 「はい!」
そして部屋の入り口にあった内線で会話を始めた。
 「あっ、先生、 すいません! ハイ、ご安心してください。すぐに騒ぎを収めます。」
丸山は静かに受話器を置くと、もう一度、ちぢこまっている私のそばに寄って来た。
 「もう一度聞く、この屋敷に侵入してるのは・・・『メリー』 か!?」
私にわかるはずもない、だが私にはこう答えるしかなかった・・・。
 「は・・・い、そう・・・としか考えられ ません・・・」
言い終わらないうちに次の質問が来る。
 「さっき、人形と言ったか? 何故、人形が動く? 仮装じゃないのか!?」
私は震えながら、自分の聞いてきたことを必死で思い出しながら答えた・・・。
 「・・・殺された恨みや、行き場のない魂がエネルギー源・・・?
 自分の境遇と重ね合わせて動いてる・・・?」
しばらく丸山は黙って聞いていたが、私の言うことを理解したのか、あきれたのか、
ドアの外に出ようとしていた。
外はにわかに騒がしくなっていた。
怒号や大きな衝撃音がこちらまで響いている。
彼がドアを開けた瞬間、その隙間から遠くで「何か」が通り過ぎるのを見た。
先ほど屋根の上で見かけたものだ!
丸山の目にも映った様だ。

悲鳴が続いた! 家具の飛ぶ音! 花瓶やガラスが砕け 家全体が揺れる!
庭にいた警備員もが続々と集まっているのが、音の方向でわかる。