Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章 第三十一話

丸一日が過ぎていた・・・。
義純も伊藤も、仕事場のほうへはうまく言いくるめることができたようだ。
元々義純は所長だし、伊藤のほうも適正な申告さえすれば、
勤務時間を拘束されない都合のいいというか、不安定な身分でもあるし。
義純は騎士団用のキャンピングカーを用意していた。
一見、慎ましやかに見える彼の生活だが、
人の目に触れない部分では、驚くべき重装備を手配できるのである。
車内には、通信機材や物々しいトランクを積み込んである。
検問などの無用なトラブルを避けるため、
空港から少し距離のある駅で、イギリスからの一団を待ち受けた。

 「ヒーウーラー! 久しぶりーぃ!!」
 「(うぇっ!) や、やあマーゴ! 本当に綺麗になったなぁ・・・!」
 「でっしょぉお?」
 「ライラック! 元気そうだな! ガラハッドも良く来てくれた。
 ・・・それでこちらが・・・。」 
義純は老人を振り返った。
マーゴがレッスルを紹介する。
 「天下の魔法使いブレーリー・レッスル様! 人形メリーの製作者らしいわ!」
伊藤もその程度の英語は理解できる。
だが、あまりの唐突な紹介に耳を疑う。
 「な、何ですって!?」
 「あー、こちらが、・・・マーゴに調べてもらったルポライター、伊藤さんです。」
義純は、マーゴがどれほど重大な発言をしたか、気づく事も出来ず、
伊藤の驚愕は、彼にスルーされてしまったようだ。
 「ハーイ、ヨロシクね! 私はマーゴ! 紅い髪の毛のあっちがライラック
 金髪のあの子がガラハッドね!」
戸惑っている伊藤をじっと見ていた老人は、伊藤に近づいて言葉をかける。
 「詳しい話は後でしたいんじゃが、
 ・・・イギリスを出る前にこやつらに頼んどいた話は聞いておるかの?」