Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章 最終話

 
・・・実はあれ以来、麻衣は毎日のように百合子と交信している。
元のメリーともできたぐらいだ、
実の母親と交信するのは、難しくもなんともないのだろう。
考えてみれば当然かもしれない。
おばあちゃんとも似たような事をしているらしい。
確かに恐ろしい一族だ。
恐らくこの一家は、これからもいろんな出来事に襲われるかもしれない。
『リーリト』の運命は、麻衣にも確実にやってくる。
だが、彼らの家族はそんなものには負けやしない。
数百年に及ぶメリーの因果を解いた家族だ。
片目のレッスルは、
杖をついて、遠くからいつまでもその家の明かりを見つめていた・・・。
きっと・・・、自分のかつての父、エックハルトや、その愛人フラウ・ガウデンにも、
同じように呪いが解ける日がくるかもしれない。
彼らの呪いにも、何か自分には分らない、大きな思慮が働いているのかもしれない。
レッスルは、自分の主人が、しばしば「悪魔」と呼ばれていることは知っている。
しかしそれを卑屈に思う事もなければ、嘆く事すらなかった・・・。
全てを選ぶのは人間次第・・・。
「未来を見通す力を持つ」・・・鎖に繋がれたヴォーダンも、自らの運命には逆らう事はできない。
むしろ、未来が見えない人間だからこそ、運命に打ち勝つ事ができるのかもしれない。
レッスルは、自分がヴォーダンの一部である事を誇りに思い、
人間達の世界に触れられる事に無上の喜びを見出していた。
この先、人間がどんな進化をするにしても、
レッスルは暖かく彼らを見続ける、
遠い過去においてヴォーダンが、アダムとイヴに与えた「果実」の本当の名前、
エピメテウスとパンドラに与えられた素晴らしい贈り物、
「希望」という果実を胸に抱いて・・・。

  「・・・マリー、そしてエミリーや、
  ・・・その暖かい家で、幸せな人生を取り戻すんじゃぞ・・・。」



     (Lady メリー最終章「解き放たれたLady メリー」終了)