Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

顔のない人形 その9

美香もそれなりのお年頃なので、当然、男友達はいる。
だが、あまりの成熟度に、そんじょそこらの男ではまともに付き合えない。
タケルが言っているのは、比較的その中でも美香と親しい男性で、向こうもその気なのだが、
どうも美香の中では「いい人」止まりのようだ。
 「男ってほんとに悲しいなぁ・・・。」
タケルはボソッとつぶやいた。

美香は、家を出た後、自分の携帯を開いた。
電話帳・・・ア・・・カ・・・サ・・・、タケルの言ってた人物はこの欄にいるが、
美香はちょっと名前を見た後、すっとばす。
かわいそす。
タ・・・ナ・・・ハ・・・、ここで美香は動きを止めた。
珍しく彼女が悩んでいる。
しばらくして美香は意を決したようだ。
その欄の、一人の名前にカーソルを合わし電話をかけた。
二、三回コールした後、相手の男性が出たようだ。
 「・・・あ、もしもし、あの・・・お久しぶりです、緒沢美香です・・・。 
 ・・・はい、お元気でしたか? お変わりなさそうですね?
 実は今日、お電話したのは、少し調べていただきたい事が・・・。
 ええ、私たちやあなた方には関係ないんです。
 できればあなた達の情報システムを利用したいんですけど・・・、
 あはは、有料ですかぁ?
 デート一回分じゃダメです? ウフフ、
 ええ、ちょっと真面目な話、昨日都内で数十件の行方不明者が出たんですけど、
 不思議な電話や幻聴が共通して関わっているみたいなんです、
 無事に戻ってきたようなんですが。
 はい、まだ確認してませんけど、少なくともその内一件は、
 昨晩の記憶を失っているみたいで・・・。
 何もなければいいんですけど、今後何らかの事件になる前に手が打てたらと・・・。
 はい、良ければ今日の午後にでも・・・。
 ええ、確かコーヒーはお薦めがあるんでしたよね? マンデリンでしたっけ?
 愉しみにさせていただきますね、・・・ハイ、ではその時に・・・。」