Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

顔のない人形 その8

・・・翌朝、事件は急展開を起こす。
行方不明の少年少女たちが、無事に家に帰宅したのだ。
タケルは朝起きた後、念のために今日子の携帯に電話してみた所、
ぶっきらぼうな、彼女の声が返ってきた。
 『・・・ああ? タケルルル・・・おはよ。
 ・・・ふぁぁああ・・・なに? ・・・ねむ・・・。』
間違いなく本人だ。
今日子はタケルをからかう時、そういう呼び方をする。
当然、タケルは驚かざるを得ない。
 「お・・・おまえ、どこにいたんだよ!?
 親父さんたち心配したんだぞ!?
 いま、どこだよ!?」
 『えぇぇ? 家だよ、こんな朝早く・・・。
 まぁだ眠いんだけど・・・。』
 「おまえ、昨日バイト休んでどこ行ってたんだよ!?」
 『バイト? あたし休んだ?
 えぇ? 覚えてない・・・。
 そうなんだ? 店長カンカン?』
 「知らねーよ! ・・・それより覚えてない、って、
 駅でオレと別れてから全然覚えてないのか・・・!?」
 『・・・あぁ、そう言えばアンタと会ってたっけ?
 ごめん・・・眠いの、寝かせて・・・。』
 「おまえ、あんなにみんなに迷惑かけて・・・!
 わかったよ、とりあえず無事なんだな?」
 『無事じゃな~い、アタシのカラダは睡眠を欲してま~す・・・。
 じゃね~おやすみぃぃ・・・。』
切れてしまった。
 「・・・あんのヤロー、切りやがったよ! 信じらんねぇ!!」
とはいっても、無事ならそれに越した事はない。
学校へ行く仕度してる姉にも報告する。
 「・・・あら! 良かったわねぇ! でも昨日の事、覚えてないって言うの?」
美香はそれを聞いて黙り込んでしまった。
タケルもそこから先は口を開けない。
誰がどう考えても怪しさ満点なのだが、そのからくりがいかなるものか全く読めない。
 「・・・とりあえず、タケル、あなたはまたお昼過ぎにでも電話してあげたら?
 私は学校に行くから。」
 「ああ、美香姉ぇもありがとな、夜中まで手間かけさせて・・・。」
 「どういたしまして。」ふざけ半分でバカ丁寧に頭を下げる。
 「・・・貸しにしとくわ、また買い物手伝ってね? 肉体労働者さん?」
 「まぁた荷物持ちかよ? 美香姉ぇ、買い物しすぎ!
 彼氏の車あるだろ? あの人に頼めよ!」
 「彼氏ぃ? 誰の事かしらぁ?」