Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

顔のない人形 その11

 
 「あんの野郎、またつながらねぇ・・・! まだ寝てんのか?」
タケルはのん気にテレビを見ていた。
そのついでに電話をかけていたのだが、まだ事の重大さに気づいていなかった。
彼は機嫌悪そうに、だらしのない格好でニュースを見ていたが、
時々、画面が乱れたり、雑音が多く入る事に注意をそがれていた。
 「なんだぁ?」
その現象自体は、すぐになくなったが、しばらくして昼飯を作ろうかとしている時に、
都内各地で、交通事故のニュースが多発しているとの速報が流れだした。
運転中の携帯電話が原因と判明しているケースもある。
その時点から、タケルにも「何かおかしくねーか?」という直感が生まれていた。
彼はニュースを注視しながら、もう一度電話をかけてみることにした・・・。
今度は今日子の自宅の電話に・・・。
・・・何度コールしても誰もでない・・・。
タケルは異様な胸騒ぎを覚えた。
すぐさま家を出て、原チャで今日子の家に向かう。
嫌な予感が当たらなきゃいいが・・・。
不安な気分になると、全てが悪い方に考えられてしまう。
やけにパトカーや救急車が多い。
自分の向かう先に走ってないのがせめてもの救いだ。
今日子の家はマンションだが、その玄関の前では近所の主婦らしき人が何人か集まってた。
タケルの背中に冷たいものが走る・・・。
おいおい・・・!
 「あ・・・あのすいません、何かあったんですか・・・!?」
主婦達は驚いたようだが、動揺しながらそのうちの一人が答えた。
 「さ、さっき大きな叫び声が聞こえたのよ、呼び鈴鳴らしてるんだけど、誰も出てこなくて・・・。
 それより、あ・・・あなたどちら様・・・?」
 「ここの今日子さんの高校の時の友人です、電話しても誰も出ないから・・・!」
タケルは体格もでかく、
このマンションの下まで、よく今日子と歩いているのを、一人の主婦が思い出した。
変な疑いは避けられたが、問題はここからだ。
タケルはない頭で必死に考える。