南の島のメリーさん達 それから2
「おじさん、狼男だったの?
バンパイアの手下?」
「ちげーよ!
オレはオレだぁ、誰の手下でもねぇ!
ま、びっくりさせて悪かった、そのうち元に戻るからよ・・・お、毛が抜けてきた!」
ローズ達にはわかるわけもないが、マルコの獣人モードは戦闘時から元の姿に戻りつつあった。
表情も人間に近くなっている。
そうこうしてるうちにヘリは向きを傾け、カーリー達を回収する体勢に入った。
空を飛んでる彼らに縄梯子なんて必要ない、
扉が開いていればそれでいい。
彼らが空を飛んでるのに最初に気づいたのはラブゥだ。
「わおっ! イッツクール! 空、飛んでやがる・・・!」
二人は危なげなくヘリに平行に並び、すぐに搭乗口に近接して機内に乗り込んだ。
ローズの目のキラキラはお星様の輝きだ。
「す、す、すってきぃ~!!」
ルキが扉を閉めるのを確認して、カーリーは機内を振り返ってにこやかに微笑んだ。
「あなた達、素晴らしいわ、よく頑張りましたね!」
この島で見る、カーリーの一番の笑顔だ。
他にも言いたそうだったが、ひとまず操縦席のネロの元に向かう。
これからの進路だろう、
一緒にルキもついていく。
「・・・ルキ、長時間ごめんなさい?
重くなかったかしら?」
「・・・ええ、あのぐらいなら軽いもんですよ、
私の空中浮揚の能力はまだまだ余裕です。
むしろ、余計な事を考えないようにするのが大変でした・・・あ。」
カーリーの冷たい視線がルキを襲う。
・・・だが、あの状態ではムリもあるまい。
ルキがあの時間、懸命に煩悩を封じ込めていたのは確かなので、それ以上は追及しない。
一応、カーリーも男性の本能まで責めたりするほど鬼ではないのだ。