Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

南の島のメリーさん達

南の島のメリーさん達 最終話

「騎士団にいる我らの同調者・・・ウーサーの甥だそうだが・・・、 その『愚者の騎士』の目を盗んで・・・日本の東京に潜入したそうだ。 ・・・ああ、あの女は・・・もうこの世にいない。 ガス爆発を装って家ごとふっとばしたということだ。 緒沢家発祥以来…

シェリーの涙~崩壊への序曲 8

http://1st.geocities.jp/amekazelionmaru/MERRY1/tel_bell-1.wav トルルルルルルル、 トルルルルルルル、 カチャ 「・・・ルードヴィッヒだ・・・。」 ・・・薄暗い・・・陽も当たらないオフィスビルの一角・・・。 天井の照明もつけず、窓もない部屋で、彫りの深い顔の男は電…

シェリーの涙~崩壊への序曲 7

「あたし? ラブゥ、カーリーと面談だったカ?」 「ああ、今、終わった・・・、これからどんな武器を手に入れるかの相談。 私の能力や適性と黒十字団の製造技術などを検討して、 作りこまれることになるって・・・。 物によっては時間がかかるものもあるが、…

シェリーの涙~崩壊への序曲 6

・・・ここはインドのコルカタ・・・。 カーリーの実家はインドでも有数の資産家だ。 いくつもの別荘やビルを国内に持っており、 その内の一つを黒十字団の活動拠点の一つにしている。 もちろん合法的に正規の事業も展開しており、 一般企業にもオフィスや倉…

シェリーの涙~崩壊への序曲 5

「しかし、あの島で行われている事については、指令どおり叩き潰しました。 ・・・あとは黒十字団と表立って矛を交えるのかどうか・・・、 本部の決定待ちではないでしょうか?」 「・・・だとしても、次は我らの出番ではないだろうよ、 エリア的にはケイの…

シェリーの涙~崩壊への序曲 4

「あ・・・あの、魂が解放される・・・というのは、つまり・・・私の姉は・・・。」 「むう、私はそういう方面には知識がないのだが・・・、 想像で言わせて貰えば、 君のお姉さんの魂は、赤い魔法使いという邪悪なる男によって、 その人形に魂を封じ込めら…

シェリーの涙~崩壊への序曲 3

「は、はい、それが何か・・・?」 「・・・いや、関係ない話だとは思ったんだが・・・時期が一致してたのでね・・・。 先程、本部から送ってもらったんだ・・・。 そこに写っている写真は、ちょうど3年前の12月に撮ったものだ。 顔や頭部を破壊したのは…

シェリーの涙~崩壊への序曲 2

李袞はまさかという表情で首を振った。 「とんでもない! 君が我々に対して、敵意がないとわかればすぐに解放するさ。 ただ、ここは洋上だし、君のカラダも衰弱している・・・。 条件が整うまで休んでいる事だ。」 シェリーはぼうっとしながら、視線を部屋の…

シェリーの涙~崩壊への序曲 1

・・・おい、 聞こえるか・・・? ・・・おい、目を覚ますんだ・・・! 「・・・あ・・・ここ・・・は・・・?」 眩しい・・・、 目も開けられないほどの強い光が辺りを覆っている・・・。 頭もガンガンするし、吐き気がする・・・気持ち悪い・・・。 ・・・…

南の島のメリーさん達 それから9

途端にカーリーの顔が険しくなる。 「ロ、ローズ! このスプレーお借りしていいかしら!?」 「え? いいけど、もう入ってないよ? それに、出たとしてもかなりひどい匂いがするから、危険だよ?」 「わかりました、気をつけます。」 そう言ったかと思うと、…

南の島のメリーさん達 それから8

ラブゥもメィリィも・・・、そして当然ローズも真剣にカーリーの話を聞いていた。 彼女たちは全員、『あざみ』の生き方に共通する物を持っていたのである。 人種差別・・・貧困・・・民族浄化・・・、居場所を奪われる悲しみ・・・。 そしてさらに・・・この…

南の島のメリーさん達 それから7

「・・・一つには、彼女達の遺伝子には特別な因子が混ざっており、 それは共食いを行う事で、常人では分泌できない脳内物質が代謝されます。 その状態になると、瞬発力や再生能力、免疫能力などが活性化されて、 いわゆる超人状態になるのです。 また、この…

南の島のメリーさん達 それから6

「ちょ・・・ちょっと待って欲しいヨ、 アタシはどんな化け物か見てないけど、そのカンニバルって人間?」 メィリィでなくともそれは聞きたがるであろう、 ラブゥだってこの話題から耳をそらすことができない。 「そうですね、ちょうどいいですわ、 あなたが…

南の島のメリーさん達 それから5

メィリィとローズはようやく明るい笑顔を見せ、肩を組んで喜び合った。 ラブゥが不思議そうに言う。 「・・・じゃあ、こないだ私を襲ったのは・・・。」 「ええラブゥ、あなたが無様な対応をしたら、食べられてましたわ。 あなたの術に感心してたわよ、ラブ…

南の島のメリーさん達 それから4

・・・ローズは下を向いて顔を上げられない・・・。 泣くのはこらえている様だ・・・、 恐らく彼女も自分の感情と戦っているんだろう。 しばらくしてローズは顔を上げたが、目が赤くなっているものの、涙は流していないようだった・・・。 黒衣のカーリーは…

南の島のメリーさん達 それから3

「カーリー様・・・もう全部、マルコが悪いってことで・・・。」 「そうですね、まったくその通りです、 帰ったら、きつく叱ってもらいましょう・・・。」 後ろでマルコがばつの悪そうな顔をしている。 自業自得だ。 彼らの打ち合わせは、比較的早く終わった…

南の島のメリーさん達 それから2

「おじさん、狼男だったの? バンパイアの手下?」 「ちげーよ! オレはオレだぁ、誰の手下でもねぇ! ま、びっくりさせて悪かった、そのうち元に戻るからよ・・・お、毛が抜けてきた!」 ローズ達にはわかるわけもないが、マルコの獣人モードは戦闘時から元…

南の島のメリーさん達 それから1

・・・そしてそれから・・・ ルキに抱えられたカーリーは、騎士団の捜索部隊の動きを透視(スキャン)し、 彼らに位置を探られないように、ルキにどこを飛べばいいか指示を与えて飛行させていた。 ・・・これはネロについても同様だ。 カーリーは、この島で…

黒の巫女・・・カーリー 7

もう、たばかれやしない、 ガワンは完全に平常心に返っていた。 「ハッハッハ、言うに事欠いて太陽の下で殺されるだと? このガワンをか!? そんなことは我が軍のランスロットやライラックにも不可能だ! ここにいる狼男ですら、私を劣勢に追い込めなかった…

黒の巫女・・・カーリー 6

「ガワン殿!! 落ち着いてください!」 後ろの声に振り向くと、「忠節の騎士」李袞がやってきていた。 「もしかすると、あなたを怒らせる事が目的かもしれません・・・、 熱くなっては相手の思う壺です。」 李袞の助言は的を得ていた。 後ろでハラハラして…

黒の巫女・・・カーリー 5

「確かに、過去には行き過ぎた争いや不幸な歴史がある。 ・・・それは認める。 だからこそ、我々は厳しい戒律を持ち、剣の使いどころには慎重な判断を下してきた。 少なくとも、我ら騎士団は神の名を汚すような事などはしない!」 「二言目には『神の名』で…

黒の巫女・・・カーリー 4

「そうはいかん、目の前でこんな化け物を見せ付けられて、 お前たちを見逃すわけにはいかん。 私たちの役目ぐらい知っているであろう? 世界の秩序と平和を守るため、おまえたちのような怪しげな者達など放っておけん!」 マルコの目が再び敵意の炎を燃やす…

黒の巫女・・・カーリー 3

「はじめまして・・・、こんな所から失礼いたします。 本当に申し訳ありません。 他に・・・あなたたちの戦いを停める術を存じ上げないもので・・・。 騎士団・・・南洋支部支部長『剛勇の騎士』ガワン様ですね? あなたのご高名はかねがねお聞きしておりま…

黒の巫女・・・カーリー 2

休ませる暇を与えない、 というのも一つの戦術ではあろうが、ガワンは一気に追い詰めない。 あくまでも一歩・・・また一歩とプレッシャーをかけていく。 ここでも二人の差が明らかになる。 経験と老獪さだ。 マルコも各地の戦場を渡り歩いた身分であるが、修…

黒の巫女・・・カーリー 1

管理棟は完全に制圧されてしまった・・・。 もう抵抗する者はいない。 だからこそ、試験終了の合図は鳴らされたのである。 アキレウス部隊及びヘクトール部隊のほとんどは、 建物内を捜索するか、生き残りの捕虜への尋問を開始していた。 今や、通信装置を回…

ローズの闘い 15

向こうには人形マーヤを抱えたラブゥも座っていた。 「ラブゥも無事だったんだ! さぁっすがぁ!!」 ラブゥは大して表情も変えず、親指を立てるだけだ、 ・・・一応、彼女なりにローズの無事を喜んでいるつもりらしい。 メィリィは心配そうにローズの傷を見…

ローズの闘い 14

『ローズ! 梯子を下ろす! 早く乗り込め!!』 スピーカーからネロの声だ! ローズを回収しに来たのだ! 急いでヘリの下までローズは駆け寄り、上から下ろされた縄梯子によじのぼる。 うんしょ、うんしょ! 風と慣性でカラダが流される。 「わぁ~ぁ!」 こ…

ローズの闘い 13

カンニバルは辺りを見回した、・・・この場を去るつもりなのだろう。 わき腹の傷は再生し始めているみたいだが、 腰骨はさすがに難儀しているようだ。 彼女は、未だうずくまっているローズに振り返る。 「・・・もちろん私もあるがままに振舞うわ・・・。 人…

ローズの闘い 12

猜疑心をありありと見せながらローズが答える。 「このまま・・・、あたしが杭を抜いたら、そのまま咽喉を貫かれるかもしれない・・・。」 「ええ、そうね、そう思うならこのまま肝臓を貫きなさい? 私も痛いし残念だけど・・・。」 しばらくそのまま時間が…

ローズの闘い 11

「そう、ご両親の意志を継ぐ・・・ということかしら? でも、この状態を考えて? あなたの死は免れない・・・ あなたは相打ちに持ち込もうとしているようだけど・・・ 私に致命傷を与える事は出来ないわ。 そうなれば、あなたの意志はここで完全に消えてしま…