Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

南の島のメリーさん達 それから5

 
 メィリィとローズはようやく明るい笑顔を見せ、肩を組んで喜び合った。
ラブゥが不思議そうに言う。
 「・・・じゃあ、こないだ私を襲ったのは・・・。」
 「ええラブゥ、あなたが無様な対応をしたら、食べられてましたわ。
 あなたの術に感心してたわよ、ラブゥ。」
 「そいつはこのヘリに乗せなくていいのか?」
 「彼女ならなんとかするでしょう、・・・その気になれば捕まった振りをして・・・ね?」
それも想像するだに恐ろしい。
彼女を捕まえたはずの騎士団の兵士が、船内で夜な夜な食われていく姿もかなりのホラーだ・・・。
ローズは今更ながらに自分が助かった事に驚いている。
・・・確かに負けるつもりもなかったし、自分のコンディションも最高の状態だったが、
また再び出会ったら勝てるだろうか・・・。
それに最後まで不思議な印象だった。
・・・何と言っていのか・・・。
そんなローズの心を読んだのか、カーリーが涼しく笑う。
 「ウフフ、あざみは優しかったでしょう・・・?」
そう・・・! 
ローズはまさしくそれを感じていた・・・。
だが、あれだけ自分を憎んでいたローズに何故、あんな態度がとれる?
単純に子ども扱いされただけだったのだろうか?
 「いいえ、ローズ、
 確かに彼女は食人鬼ですが、無闇やたらに人を食べてるわけでもありません、
 あなたのご両親を食べたのも、
 あなたのお母様が元々敵対的な職業に就いていた為・・・。
 実社会では一月に人一人、食べるか食べないかの質素な生活ですよ?」
・・・いや、人間食べるのを質素って言われても・・・。
 「それに・・・、
 あなた達もいずれわかると思いますが、メリーと言えども人間です。
 孤独では生きられません・・・。
 誰か・・・心の拠り所になる者か、信ずるものが必要なのです・・・。
 あの子ももう、長い年月、世界中を彷徨ってるとは聞きましたが・・・
 きっと淋しいのですよ・・・。」