Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

南の島のメリーさん達 それから9

 
 途端にカーリーの顔が険しくなる。
 「ロ、ローズ! このスプレーお借りしていいかしら!?」
 「え? いいけど、もう入ってないよ?
 それに、出たとしてもかなりひどい匂いがするから、危険だよ?」
 「わかりました、気をつけます。」
そう言ったかと思うと、カーリーは急いで操縦席のネロのところに向かう。
 「ルキ、ちょっと操縦をネロと代わっていただける?
 ・・・ええ、ありがとう、ネロ・・・これなんだけど・・・。」
カーリー達は小声で会話を続ける、
ローズ達には何を話しているかは聞こえない。
だが・・・、何か機材を使って調べているようだ・・・。

 「・・・カーリー様・・・!」
 「ネロ、どうですか!?」
 「やはり、間違いないようです・・・。
 ノズルの根元に極小のタイマーが・・・!」
 「それは・・・何の為の・・・。」
 「発信機です・・・。
 もちろんただの発信機なら私が見つけたでしょう・・・!
 ですが、これは恐らく、一日のうちに一回か二回・・・その時だけ所在地を発信するタイプ・・・。
 それ以外では電波を発信しないために、発見する事ができなかったと思われます。」
 「では・・・ここが騎士団にばれたのも・・・
 ローズがそれと知らずにこのスプレーを持ち込んで・・・?」
二人とも顔を見合わせて「やられた・・・!」という表情になっている。
さすがのテレパシスト、カーリーも、
スキャンする対象本人が知らないことまで見通せるわけがない。
もちろん、マーゴもカーリーの能力を知っていたわけではないはずだ。
だが、結果的に黒十字団を出し抜く形になったのである。
カーリーは思わずつぶやく・・・。
 「やはり警戒すべきは、騎士連中よりも・・・『ウェールズの魔女』・・・、
 よっぽど厄介ですね・・・。」
カーリーはその後ローズに対し、危険とか匂いがきついといった適当な理由をつけて、
スプレー缶をヘリから捨てさせてしまった。
・・・このまま持ち運んでいたら、隠れ家全てが明るみになってしまう・・・!