シェリーの涙~崩壊への序曲 3
「は、はい、それが何か・・・?」
「・・・いや、関係ない話だとは思ったんだが・・・時期が一致してたのでね・・・。
先程、本部から送ってもらったんだ・・・。
そこに写っている写真は、ちょうど3年前の12月に撮ったものだ。
顔や頭部を破壊したのは私たちの仲間がやった・・・、やらざるを得なかった・・・。」
3年前の12月・・・!?
急にシェリーは反応を変化させ、食い入るように写真を見比べ始めた。
何枚目かの写真を見ているうちに、突然彼女の動きが止まる・・・。
李袞は黙って、シェリーを見守っていた。
「こ・・・この人形の衣装は・・・!?」
頭が破壊されている・・・。
だが、その写真に写っている人形の衣装は、紛れもなく、
かつて姉とケンカして取り合ったアンティークの人形だ・・・!
「こ、これを・・・どこで!?」
李袞は煙を吐いた後、タバコの火を灰皿に押し付けた。
「まさかと思ったが・・・やっぱりそうか・・・。
昔・・・人の命を弄ぶ人形遣いがいてね、
我々もそいつを追っていたんだが、ようやく3年前にそいつを仲間が発見してね。
ヤツは自分の好みの女の子を見つけると、秘術を使って、人形の中に魂を封じ込めていたのさ。
・・・にわかには信じがたい話だが・・・。
事の真偽は今となってはわからんが、
その人形達が生き物のように動き出して、我々の仲間を襲ってきたのは間違いないんだ。
たまたまその時、助言をしてくれた人がいてね、
器を破壊すれば魂は解放されると聞いて、ここまで徹底的に破壊したんだそうだ・・・。」
シェリーは再び写真をみつめていたが・・・、
しばらくすると目元から一筋の涙を流していた・・・。
「・・・お姉ちゃん・・・!」
その写真に幾滴もの涙が落ちてゆく・・・。
こんなところで・・・あの忌まわしい事件の真相を手に入れられるなんて・・・。