Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

シェリーの涙~崩壊への序曲 4

 
 「あ・・・あの、魂が解放される・・・というのは、つまり・・・私の姉は・・・。」
 「むう、私はそういう方面には知識がないのだが・・・、
 想像で言わせて貰えば、
 君のお姉さんの魂は、赤い魔法使いという邪悪なる男によって、
 その人形に魂を封じ込められた・・・。
 そしてその間は、本人の意識とか意志はなくなっているのか、操られたままの状態だった・・・。
 だが、術士を倒し、人形を破壊した事によって、魂はこの世から消え去る。
 ・・・お姉さんが亡くなったのは偶然じゃないのだろう、
 魂が消え去ったと同時に・・・肉体の命も天に召されたんじゃあ・・・ないのかな・・・。」
シェリーは李袞の話を黙って聞いていたが・・・、
しばらくすると、写真を見つめたまま動かなくなってしまった・・・。
どのぐらい時間が過ぎ去ったか、李袞は席を立った。
扉を開けて出てゆこうとする李袞に、シェリーはあわただしく声をかける。
 「あ・・・あ、あの・・・!」
振り返る李袞に、シェリーは一生懸命、泣き声にならないように声をつむぎ出す。
 「ど、どうもありがとうございます・・・。
 なにか、心の中の、重いものが・・・なくなったような、気がします・・・。」
李袞はにっこりと笑った。
 「・・・そうか、それは良かった・・・、
 なら、普通の生活に戻れるように・・・努力するんだな・・・。」
 「は・・・はい!」

扉は閉められた。
船内の廊下を歩く李袞に、次の角でガワンが待ち構えていた。
 「李袞よ、やはりあの少女はバァルの犠牲者か・・・?」
 「そのようです、・・・ま、これで彼女も呪縛から解放されたようです、
 もう、こんな世界には足を踏み入れないでしょう。」
 「フン、一件落着みたいなセリフを吐いている場合か?
 結局、肝心な目的はわからずじまい、首謀者達は全員逃がしてしまった・・・!
 本部になんと釈明すればいい!?」