Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

シェリーの涙~崩壊への序曲 8


 トルルルルルルル、  トルルルルルルル、  カチャ
 「・・・ルードヴィッヒだ・・・。」
・・・薄暗い・・・陽も当たらないオフィスビルの一角・・・。
天井の照明もつけず、窓もない部屋で、彫りの深い顔の男は電話をとった・・・。
ロマンスグレイの髪に、大量の口ひげを蓄えた男は、黒十字団の党首である・・・。
スクランプの光のみが、受話器を手にする彼の姿を背後の壁に映し出している・・・。

 「カーリーか、ご苦労だったったようだな?
 うむ・・・ネロから大体は聞いた。
 なに、謝る事はない・・・3名も合格者を出したのだろう・・・十分だよ。
 彼女達の使い道は・・・これから考えればいい・・・。
 舞台はできあがりつつある・・・。

 そうそう・・・君がいない間にいい知らせが届いているんだ・・・。
 まず一つ・・・。
 イギリスに送った・・・メリー・・・、
 ベアトリチェ・メリーがやってくれたよ・・・。
 そう、ウーサー・ペンドラゴンの思想改造に成功したようだ・・・。
 もう、あの男は彼女の思いのままだ。
 形のないものを盲信する者ほど扱いやすいものはない、という事だな。
  そう遠くない時期に・・・騎士団は暴発するだろう。
 キチガイに刃物とはよく言ったものだ・・・。
 彼らが全世界で軍事行動を起こせば、再び混沌が世に訪れる。
 全く愉快な話ではないか?
 神に仕えるはずの彼らが・・・皮肉にも我々の望みを果たしてくれるのだからな・・・!
 ・・・んん?
 ああ、そうだな、警戒すべきものはいる。
 あの・・・『あの時も邪魔をした』極東の青年は、強硬に反対するだろうが、
 所詮、騎士団本部の決定には逆らえない・・・。
 そうそう、極東で思い出した・・・もう一つのいい知らせだ・・・。」