Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー 新世界篇 出航6

 
 「彼女に聞いてみたほうが手っ取り早いですよ、
 おい、メリー、キミを作ったのは誰だ?」
人形は終止、船長とユージンの会話を黙って聞いていたが、
ここで船長に質問されてようやく会話に参加した。
 「・・・さぁ、このカラダを作ったのは誰かだなんて・・・、
 言えることは、この人形の姿は私が自分で選んだ姿だと言う事・・・だけ・・・。」
凄い・・・凄すぎる、ちゃんと会話にもついてこれるなんて・・・!
ユージンは興奮しすぎて、質問の答えなんてもはやどうでもいいようだ。
 「あ・・・ああ、メ、メリーと言ったっけ?
 ちょっと、その場でグルッて回ってみてくれないか?」
少し間を置いてから、言われたとおりメリーは背中を見せて一回転する。
完璧だ・・・!
ランプに照らされたその姿は、ユージンがこれまで見てきたどんな彫刻品や人形よりも美しい。
 「な、なぁ! オブライエン船長、この人形の事を知ってるのは貴方だけなのかい?
 そういえば、さっき口外禁止って言ってたもんな?
 とりあえず、この人形を私の部屋に移動させるよ!?」
 「知ってるのは、数名の部下だけですが・・・
 貴方の部屋に移動させるのは・・・。」
 「何を言ってるんだ?
 この航海で得た物は僕に帰属権がある。
 第一、貴方じゃこんな高価な物の管理も出来ないだろう?
 ・・・こんな暗い船室に閉じ込めて・・・。
 さぁ、おいでメリー? 私の部屋で楽しいひと時を過ごそうじゃないか?」

だが、メリーはユージンを見つめたまま動こうとはしない。
 「メリー? 何してる? さぁ・・・」
彼がメリーを誘おうと、その垂れた銀色の髪の房に手を入れようとしたとき、
バネが弾けたように、突然メリーの腕がユージンの顔面に向かって突き出された。
 「ヒィッ!?」
メリーの人差し指がユージンの眼球直前で止まる・・・
あと2~3センチで突き刺さるだろう。