Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー 新世界篇 出航5

 
 「しゃべったぁぁ!!」
ようやく喋れたのはユージンのほうだ。
オブライエン船長は、ユージンの反応を見て、予想通りとでもいう風にほくそえんでいる。
人形はあまり反応がない、
当然と言えば当然だが。
ユージンは、一人興奮してわめき散らす。
 「ちょっとちょっと! こ・・・ここっこれkっここれ、いいいい生きてるの!?
 そ、っそれとも中に人が?
 い、いやっ入るわけないか? あ・・・さっき手品って言った!?」
すぐにそれを否定する船長。
 「いえいえ、手品・・・なのかもしれませんが、
 少なくとも私にはそんな単純なものではないと思いますよ?」
 「ちょっと・・・詳しく話してよ!
 こんな人形の事なんて古今東西聞いたことないよ!
 まさか・・・、これから行く新大陸の産出品とか!?」
実際、この人形を本国に持ちれば、それだけで船出の出費を賄えるだろう、
咄嗟に、切実な願いを頭に浮かべたユージンだったが、
次にはもう、俗な考えを露わにしていた・・・。
 この息をも呑むような美しい顔立ちはなんだ・・・?
 全てを見透かすかのようなグレーの瞳・・・、
 高貴さをうかがわせる、キメの細かいバラの刺繍をあしらったドレス・・・、
・・・少し間を置いてから、船長は説明を始めた。
 「出航前夜、私が積荷のチェックをしてた時にですな、
 暗がりの中を動くものを見つけて、調べようとした所、突然彼女が現われて・・・、
 そぉりゃ私も最初は腰が抜けるかと思いましたよ? 
 それで私が船長だと言うと『この船に乗せて欲しい』と、言うんでね、
 こっちも退屈しのぎになるかと思って乗船させたのですよ。」
 「そ それだけの理由で!? 
 い、いや、まぁ確かに凄い貴重な存在だし、こんなものを手に入れられるのなら、
 城、一つ分・・・いや、国が一つ丸々買える様なシロモノだが・・・
 いったい、こんな人形を誰が作ったんだ・・・?」