Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 伝授5

 
 一行は緒沢家を出発する。
ここでもタケルはそわそわしっぱなしだ。
 これから何を見せられるんだろう・・・?
助手席には美香が座って、タケルは後ろの席だ。
まぁ、それはどうでもいい。

 「あのー白鳥さん・・・?」後部座席からタケルが尋ねる。
 「ん? なに?」
 「白鳥さんも、スサの・・・人だったんですか?」
そう言われて、白鳥は一度、美香に目配せをする。
どこまで話をして良いものか、白鳥には判断できないからだ。
そこで後部座席を振り返ったのは美香だ。
 「スサは、基本的に、血族で構成されるから、
 亮は、スサの人間ではないの。
 ・・・でも、白鳥家は古くから、緒沢家と交流があった家だから、
 内情は通じているわ。
 現在はスサ剣術指南役、それが白鳥家の役割・・・。」
 「ふぅーん、いろいろ複雑そうなんだな・・・。
 ん? ってことは門外不出の剣は?」
 「・・・見せられないの、
 普段は稽古をつけてもらったり、スサの若い人たちの修練に付き合ってもらってるわ。」
 「じゃあ、今日のも・・・。」
 「ほんとは、信州の旧緒沢家まで行ってもいいんだけど、
 大変でしょ?
 だから、今日は亮の道場を借りるだけ。
 ・・・それこそ、向こう行ったら、あっちの人に挨拶したり、
 しきたりがいろいろあるから面倒なのよ・・・。」
 「なぁるほど、・・・あ、そうか、そういや、美香姉ぇ、
 今日は久しぶりにそのネックレスかけてるな?」

美香の首元には、
ファッションとしてはおおよそ似つかわしくない、大振りないぶし銀のネックレスがかけられている。
父親の形見なのだ・・・。