緒沢タケル 伝授6
最近、ようやく真剣に考え始めたタケルは、やっとそのネックレスの意味を知る。
「これは、スサ総代の証だからね・・・。
集会に行く時や、今日みたいな大事な日には必ず必要なのよ・・・。」
以前、タケルもそれに触った事はある・・・。
いぶし銀と言うか、光り方はむしろ鉛に近いようなのだが、
その硬さは鉛ではありえない。
きっと特別な合金なのだろう。
・・・そういえば・・・。
「美香姉ぇ、そういえば、今日はそのごっつい箱も持ってきてるよな?
それって、爺ちゃんの部屋で飾られてたヤツだろ?」
「そうよ、中身は・・・タケルは見たことないわね?
鍵がしっかりかけられているんだから・・・。」
「ああ、何が入ってるんだ?
緒沢家で昔から祀ってきた御神体だって聞いたけど?」
美香は膝の上に置いていた「それ」を、持ち上げて後ろのタケルに手渡す。
「この形でわからない?」
いろいろな飾りや装飾があつらえてあるが、
この長さ、大きさは・・・。
「刀・・・か!?」
「惜しい! 剣よ・・・。
国宝級・・・いえ、そんなものじゃ済まされないけどね、
後で見せてあげる。」
さっきまでは無気力でいたタケルも、だんだん緊張の度合いを高めていく。
真剣? それも国宝級以上?
そんな宝があったのか、この家!?