Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 伝授7

 
 「じゃあ、美香ちゃん、とりあえず、荷物を・・・。」
 「必要ないわ、このまま着替えて道場に行くから。
 亮はタケルに着替え場所を案内してくれる?」
美香はかってしったるなんとやらか、
自分で更衣室へと向かった。
・・・基本的に白鳥家に女性用更衣室なんてあるはずもない。
一つしかない更衣室を、便宜上美香が使うだけだ。
・・・てことはタケルは・・・。
 「えーと、タケル、道場の脇に、物置あるんだけど・・・そこで着替えてもらっていいかな?」
 「あー、どこでもいいっすよー、なんなら道場でも・・・。」
 「それはオレが許さん、
 そしてもし許したら美香ちゃんに二人とも怒られるな。」
 「そ、そっすね、 すいません・・・。」
神聖なる道場だ、それは当たり前だろう。
 「まー、でもどうなんだい?
 オレは勿論ダメだけど、姉弟でも、おんなじところで着替えるのにはやっぱ抵抗あるかい?」
 「はぁ? まぁ、二人だけなら気にもしませんけど、一応、他所様のところですしねぇ?
 家んなかじゃ、オレなんか下着姿だけでうろつく事もあるし、
 姉貴も際どい格好の時もありますよ? バスタオル一枚とか・・・。」
 「ま・・・まじか!」
 「・・・あのっすねぇ?
 基本的に遺伝子一緒なんすから、嬉しくも何ともないすよ?
 オレだって、鏡の前で顔洗ってる時、
 気がつくと自分の鏡に映った顔が、姉貴の顔に見える時があるぐらいなんですよ?
 もちろん、カラダつきや体格は違うけど、自分ら双子だと言われても驚きゃしませんよ。」
 「・・・そうかぁ、やっぱり姉弟ってそんなものかぁ・・・。」
そう言われてみると、白鳥にも思うところがある。
二人の姉弟は、性格が正反対なため、
しばしば見られる彼らの表情に、なかなか共通点は見受けられないのだが、
久しぶりに会ったタケルは、かつての泣き虫とは別人のようだ。